現在大ヒット公開中の映画『ムーンライト』のアカデミー賞作品賞受賞を受けて、本作のロケ地であるマイアミ・デイド郡・リバティ・シティのNW22番街の一部(6ブロック分)が、Moonlight Way(ムーンライト・ウェイ)と名付けられることが、4月18日(現地時間)に発表された。
偶然にも、監督のバリー・ジェンキンス、脚本のタレル・アルヴィン・マクレイニーは同じリバティ・シティの公共住宅で育ち、同じ小中学校に通っていた。このムーンライト・ウェイの通り沿いにはマクレイニーが学んでいたアフリカン・ヘリテージ・カルチュラル・アーツ・センターもあり、「ムーンライトの生誕地」「恋人たちの聖地」として、多くの観光客が来ることも期待できる。
アカデミー賞授賞式の発表ミスにより残念ながら披露できなかった受賞スピーチにおいて、監督はマイアミでの生い立ちについて「『ムーンライト』を観たらマイアミのような環境で育ってきた少年が、大人になってアカデミー賞に輝く作品を作るとはだれも思わないだろう。実はそうやって自らの夢を抑え込んで、否定してきたんだ。周りに否定されたわけではなく、僕自身がね。だから、僕たちや、この作品に自分を投影している人は、これを機に自分自身を愛してほしい。なぜなら、そうすることで、夢を見るだけでなく、許されないと思っていた夢を実現できるかもしれないからだ」と語っている。今回の命名は、未来を担う子供たちへの大きなエールともなることは間違いない。
◎郡政委員のオードリー・エドモンソン-今回の命名について
この映画は、私たちを含め、リバティ・シティの多くの子供たちがどのような環境で育ってきたか、どのような苦難を経験し耐え抜いてきたかを忠実に描いています。“ろくな大人になれない”と言われている子供たちにぜひ耳を傾けてほしい。生い立ちや育った場所に関係なく、人は何かを成し遂げることができるのです。『ムーンライト』のおかげで、マイアミ郊外の状況を全米に知ってもらえました。さらに裕福な地域の住民とリバティ・シティの人々の間にある、心理的な溝が埋まることも願っています。まだ観ていない人には“今でも遅くない”と伝えたいですね。この環境を知らない人は、きっと気づかされるものがあるはずです。
◎公開情報
映画『ムーンライト』
2017年3月31日(金)TOHOシネマズシャンテ他にて全国公開
監督・脚本:バリー・ジェンキンス
エグゼクティブプロデューサー:ブラッド・ピット
キャスト:トレバンテ・ローズ、アッシュトン・サンダース、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホーランド
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ/朝日新聞社
配給:ファントム・フィルム
(C)2016 A24 Distribution, LLC