さらに元G大阪の点取り屋FWファン・ウィジョ(オリンピアコス)、ザルツブルグ時代にハーランド、南野拓実と強力ユニットを形成したFWファン・ヒチャン(ウルヴァーハンプトン)と攻撃陣のタレント力は歴代最高レベルだ。それに比べてボランチより後ろのポジションに不安はあるが、アジア最終予選を無敗のまま危なげなく突破(出場決定後のUAE戦で敗戦)し、今年6月の親善試合ではブラジル戦こそ1対5の大敗に終わったが、チリに2対0、エジプトには4対1で勝利した。主力不在で日本に完敗したE-1選手権は参考外と考えるべきだ。
さらにW杯を戦う上で、2018年8月からチームを指揮するポルトガル人のパウロ・ベント監督の存在も大きい。現役時代にEURO2000や2002年W杯に出場し、監督としても母国代表を率いてEURO2012と2014年W杯に出場。その経験に加え、確かな分析力にカリスマ性も持ち合わせ、韓国代表ではDFラインからしっかりとパスを繋ぐポゼッションスタイルを貫いてきた。
そのビルドアップ戦術の是非やソン・フンミンの起用法に対する批判の声はあるが、選手からの信頼度は高く、母国であるポルトガルの攻略にも期待が持てる。H組でウルグアイ、ガーナ、ポルトガルの順で戦う今回のW杯。本命・ポルトガル、対抗・ウルグアイの構図は崩れないだろうが、ドイツとスペインと同組の日本よりもグループリーグ突破の難易度は低い。
もう1カ国、注目のチームを挙げるとすれば、開催国のカタールだろう。かつての“反則的な”帰化戦略の時代を経て、現在は2004年に設立されたアスリート養成機関「アスパイア・アカデミー」による国家的若手育成プロジェクトの成果が現れ、2019年のアジア杯ではグループリーグ3戦全勝(10得点無失点)からイラク(1対0)、韓国(1対0)、UAE(4対0)、そして日本(3対1)を下して初優勝を果たした。
その決勝戦でゴールを決めたFWアルムエズ・アリ(アル・ドゥハイル)、FWアクラム・アフィーフ(アル・サッド)の2トップは健在。現バルセロナ監督のシャビの指導を受けたアル・サッド勢を中心に戦術的にも洗練され、2017年7月からA代表を指揮するスペイン人のフェリックス・サンチェス監督のもとで攻撃的なスタイルが浸透している。