VAMPS主宰のロックフェス【VAMPARK FEST】が2月18日~19日(水)の2日間にわたって東京・日本武道館で開催。国内外のロックシーンを代表するアーティストが熱演を繰り広げた。
“FEST”と銘打ったイベントとあってアリーナ席に椅子は用意されず、ブロック指定のスタンディング。開催前のインタビューでもHYDEが語っていたように“攻撃的”なラインナップが集まった同イベント。アーティストの出演前の紹介映像には「ROUND~」と表示され、ゴングが鳴らされる。戦う気満々のVAMPSの姿勢に会場の興奮が高まる。
18日のトップバッターはテキサス出身のバンド、NOTHING MOREが務める。インダストリアル・ロックを独自に突き詰めたラウドなサウンドにハイトーンヴォーカルを突き刺す。昨年6月に国内盤が発売されたアルバム『NOTHING MORE』の楽曲を中心に6曲を披露。ステージ中央に設置されたタムをヴォーカルが叩きまくったり、逆さづりにしたベースを3人で奏でたりと、予想外のパフォーマンスで観客を圧倒。
次に登場したのは、日本のロックバンド[Alexandros]。会場から黄色い歓声が響く中「Simulator」から始まり、「Waitress, Wateress!」、「Kick & Spin」などアップテンポな楽曲を一気に3曲演奏。今回VAMPSから声がかかったことについて川上洋平(Vo.Gt)は「ちょっとは気に入ってもらえてると、勘違いしております!」と話し会場の笑いを誘った。名前繋がりで「VAMPSの2人にこの曲を捧げます」と、3月18日にリリースする新曲「Dracula La」を披露。同じく新曲の「ワタリドリ」をに、爽やかにプレイし、自身のステージを締めくくった。
続いては、元マイ・ケミカル・ロマンスのヴォーカリストのジェラルド・ウェイ。「武道館に来るのは何年か前にマイケミで来て以来かな、とても好きな場所だよ。」と、語る彼の来日は実に4年ぶり。「Action Cat」、「No Shows」、「Millions」など、昨年9月にリリースしたソロ・アルバム『Hesitant Alien』の楽曲を中心に披露。ラストはジーザス&メリーチェインの「SHAKED RIVER」をカバー。合計11曲を披露し、カリスマの風格を見せつけた。
初日の“Final Round”、立ちこめるスモークの演出と共にお待ちかねのVAMPSが登場。HYDE(Vo,Gt)が、VAMPSロゴの旗が付いたマイクスタンドを肩に掲げて登場し、1曲目「Revolition?」のスタートと共に早くも「Bang on, stomp everybody!」のかけ声と共に踊り狂う会場。続けて「LIPS」、「Trouble」、「Evil」など激しい楽曲をノンストップで披露。ステージ横のモニターに真っ赤な棺の映像が映し出され、「Vampire’s love」へ。セットリストに激しく緩急がつけられ、ミュージックビデオの世界へ会場を引き込む。続けて美しい照明と共に「Zero」を披露。クールダウンしたかに思えた会場だったが、「Ahead」、「Bloodsuckers」、「Devil Side」と、おなじみのキラーチューンを炸裂させ、本編は終了。
アンコールを受けステージに戻ってきたVAMPS。「寒い中よく来てくれたね。かなりの情熱を感じる。」と、hydeが観客への感謝の気持ちを伝え、今回のフェスについて、「やって良かった。なにが良かったって、ドタキャンされなくて良かった(笑)」と語り、安堵の表情を見せるとフロアが沸き、歓声が贈られる。ラストにはトップバッターを務めたNOTHING MOREを再びステージに呼び「Sex Blood Rockn’ Roll」でコラボレーション。ここでしか見ることのできないパフォーマンスにファンならずとも大興奮の夜となった。
19日に行われた2日目のトップバッターは、Buck Cherry。その攻撃的な演奏で序盤から会場のテンションは上がりっ放し。「Lit up」、「Broken glass」、「All night long」など毒々しいロックナンバーを立て続けに披露。“武道館クラスのステージは余裕”といった雰囲気で見度とにオーディエンスをを引き込んでいく。「Say Fuck it」のイントロが始まると、フロアからは大歓声。ジョッシュ・トッド(Vo)の掛け声で会場をヒートアップさせてくれた。
続いて登場したのは、元黒夢の清春(Vo)率いるロックバンド、sads。「あんまりフェスとか出ないんだけど、出たときにはぶち壊して帰るか、顰蹙買うか、それに命かけてます。でも今日はちゃんとやりますんで。」と語る清春。衰えないカリスマ性を健在に発揮し、「See a pink thin Cellopane」、「GOTHIC CIRCUS」、「WASTED」など【VAMPARK FEST】仕様に仕上げてきた超攻撃的なセットリストでオーディエンスを踊らせ、魅了し、ステージを後にした。
そして、HYDEが初めてギターをコピーしたという、モトリー・クルーのベーシスト、ニッキー・シックス率いる、SIXX:A.M.が登場。「Let’s Go」から始まり、2曲目「Stars」の途中、HYDEが登場するというサプライズに会場は大興奮。先日のインタビューで“緊張する”と語っていたHYDEだが、その緊張を見せない存在感抜群のヴォーカルを披露し、憧れのバンドのステージ花を添えた。バンドは昨年10月にリリースされた『MODERN VINTAGE』収録の楽曲を中心に、伸びやかなハイトーンヴォイスと高水準なパフォーマンスを聴かせてくれた。
いよいよ【VAMPARK FEST】もラスト1組。スモークが立ちこめる中、シルエットが浮かび上がり、大トリを飾るVAMPSの登場。2日目は「EVIL」からスタートし、「Lips」、「Devil Side」、「Damned」、「Ghost」、「Revolution ll」、「AHEAD」、「Sex Blood Rock’n Roll」と、初日と打って変わって、オーディエンスに襲い掛かるようなセットリストだ。そんな中、HYDEは“まだまだ”と観客をあおる。その姿はまさに血に飢えたヴァンパイアのようであり、熱狂を養分に爆音のロックを鳴らし続ける。
アンコールにて登場したのは、なんとsadsの清春、K-A-Z、そして、ニッキー・シックスというなんとも豪華な布陣。これにはHYDEも喜びを隠しきれぬ様子で「ちょっと泣きそう」と本音を漏らす場面も。そして、モトリー・クルーの名曲「Live Wire」を披露。演奏後にはステージ上でニッキーからHYDEへベースが贈られ、HYDEにも嬉しいサプライズプレゼントが。フロアからも暖かい拍手が贈られ、この2日間の宴はフィナーレを迎えた。
この日、スクリーンでSIXX:A.M.とVAMPSの全米ツアー決定が発表。また、アメリカでアルバム『BLOODSUCKERS』の海外盤を3月23日にリリースすることが明らかに。これからアメリカでの大型ロックフェス出演も控え、更なるステップアップ向けて弾みをつけたVAMPS。彼らの活躍への期待は高まるばかりだ。