タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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ようやく、あの重すぎるランドセルをどうにかしようと文部科学省が全国の教育委員会に通知を出しました。使わない教科書は学校に置いておけばいい。育ち盛りの小さな体に6~10キロもの荷物を背負わなくてもよくなるのです。
よくオーストラリアではどうなんですかと聞かれるのですが、小学校から高校まで、通学にはリュックを使います。教科書は持ち帰らない。個人で一揃えもらうのではなく、学校に備え付けてあり、先生の配るプリントで学習を進めます。ちなみに黒板はなく、ホワイトボードにプロジェクターで画像を映し、それにマーカーで書き足すスタイル。そして生徒の筆記具は、ボールペンです。体操着は着ていくか上着だけ替える、上履きや体育館履きは不要。お弁当持参の日もあれば学食で済ます日もある。水筒は必携。そう、通学時に水も飲めます。
そんなわけで小学生のリュックは軽いのですが、ハイスクール(中高)に上がると一気に重くなります。理由はパソコン。息子たちの学校(公立)では、基本的に1人1台持参です。学校でWi-Fiのネットワークにログインし、先生が授業で使った画像はデータでもらい、課題の提出をパソコンで行うことも。数学なんかは手書きで計算するのでノートも必要。その計算のための複雑な計算機も持参します。それに水筒と、日によってはスポーツシューズなどで結構荷物が多いのです。
ちなみにcanteenという学食には、ジュースやアイスも売っています。巻きずしも定番メニュー。精算はSuicaのような交通系カードで行い、ネットで事前注文も可能。学校からの連絡はメールやアプリで親に直接届きます。試験の結果もサイトで確認。
というわけで息子たちは「宿題やる」というと大抵パソコンを開きます。手書きのリポートも結構あるので二刀流。中1と高1の2人のリュックはずっしりと重いのです。
日本でも、せめて小学校の間ぐらいは軽い荷物でのびのび過ごせるようにしてあげたいですね。
※AERA 2018年9月24日号