しかし、いま逮捕・勾留されている特別背任はかなり事情が異なります。為替スワップを日産に付け替えたという事実は、まったく嫌疑がない、まったく容疑がないと考えております。最初はゴーンさんの話だけ聞いていましたので確信していたわけではありませんでしたが、日産の取締役会の議事録、これは検察がゴーンさんに説明して私たちに説明したものですが、それを聞いて私たちは確信しました。

 さきほどお話をした三者間、日産と銀行との三者間のゴーンさんの合意があるのに、なぜ、裁判官が検察の言うとおりに逮捕状を認めたのか、疑問です。

 背任容疑でも重要人物である、ミスターEについて、実は検察はゴーンさんを取り調べをする前に話をしていないことがわかりました。

 会社から必要がないのにお金を払わせた事件で、その支払われた先、つまりミスターE氏から話を聞かずに逮捕したのはまったくの異例だと思います。

 ふつうは、これまでは、そういう特別背任の事件では、金が支払われた先から話をきいて、それが本当に支払われるべきものだったのかということを慎重に確認してから逮捕するものです。

 そして、私たちはミスターEと話ができる人を通じて、話を聞きました。そうしたところ、ミスターEの会社、Dという会社は日産のためにいろんな業務をやっていたことがわかりました。さらに、日産の中東担当である人からも話を聞くことができて、ミスターEの会社Dから、日産の販売代理店網の建て直しでその成果を日産は得ることができたということがわかりました。もちろん、検察官が逮捕状を請求して勾留しているのですから、何も証拠がないということはありません。新聞などの報道によれば、中東の担当者の一人がこの支出はまったく不要だったと述べたと書かれています。しかし、人を勾留する、逮捕の期間は48時間ですが、勾留は長くなっています。なのに、日産の一部の担当者が不必要な支払いだったと言っている一方、支払いを受けた人が正当に業務を行っていたという証言もある。あるいは別の人も正当な対価だったと言っている。それが果たして勾留に対する正当な理由だろうか、ということで裁判官に訴えました。それが勾留理由開示手続きをして、記者会見を開こうと思った理由です。(AERA dot.編集部・西岡千史)

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