バッテリーの持ちはどうか。約2.75時間の充電時間で、45分使用できる仕様。駆動時間45分は、8畳程度の部屋ならそれだけあれば十分だが、複数の部屋となると、一度の充電では掃除しきれない。ライバルの「ルンバ980」が稼働時間120分、一度の充電での稼働面積112畳をうたっているため、スペック的には「ダイソン360 Eye」とかなりの差がある。この点は他社製品に軍配があがるだろう。


 
 「ダイソン360 Eye」のメンテナンス性は悪くない。ダストカップを取り出して、ごみを捨てるだけで、カップも水洗いもできる。2カ所のフィルターは、半年ごとでいいので、日常的なメンテナンスは苦にならない。

 最後に使い勝手をみてみよう。本体のスイッチはひとつしかなく、オンとオフができるだけ。スケジュール予約機能などはスマートフォンのアプリを使う必要がある。また、アプリとの連携にはWi-Fi環境が必要だが、アプリはリモコンとして使え、掃除した記録もできる。

 ただ、実際に使っていて不便な点もあった。ルンバであれば立ち入ってほしくない場所を「ヴァーチャルウォール」という機器で設定できるが、「ダイソン360 Eye」にはこうした機能はない。掃除する必要がない部屋のドアを閉めておくなど、物理的に入れないようにするしかない。

 清掃時に発する音も比較的大きい。ルンバの最新モデルなどと比べると、一段階大きいようにも感じる。その音の大きさは、一般的なキャニスター型の掃除機と同じレベルのように感じた。ただ、ロボット掃除機は一般的に不在時に使うので、騒音はさほどの気にする必要もないかもしれない。

 吸引力は圧倒的に優れているので、比較的家具が少なく、シンプルな形状のリビングなどの部屋をしっかりきれいにしたい。そんな用途には間違いなく向いている製品といえるだろう。

(ライター・溝口裕作)