誰もが簡単に情報発信できるようになり、世界中で偽ニュースが拡散。昨年は、アメリカ大統領選挙にも影響を及ぼしたといわれる。偽ニュースがインターネットを通じて広まる理由を考えてみよう。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、ジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介さん監修の解説を紹介しよう。

■不確かな情報が爆発的に広まる

 新聞やテレビなどマスメディアの情報とネットで流れる情報の大きな違いは、正確性だ。

 マスメディアは、入手した情報を別ルートでも確認し、何人もの目でチェックしてから発信する。でも、個人がネットで発信するとき、情報を誰かにチェックしてもらうことはまずない。だから、悪意がなくても、思い込みや勘違いで偽ニュースを広めてしまうことがよくある。とくにスマホがあれば、移動中でも気軽に、反射的に「リツイート」や「いいね」ボタンが押せる。おもしろい情報や刺激的な情報ほど拡散されるけれど、それが正しいとは限らない。【拡散希望】と書いてあると、よかれと思って拡散してしまいがちだけど、SNSなどネットで広まった情報は、最初から疑ってかかったほうがいい。人にたとえるなら「おもしろいけど、いつも話をおおげさに盛るやつ」。そのつもりでつきあおう。

 誤った情報を流してしまった場合、訂正しようとしても、完全に取り消すのは難しい。ネットの情報は一度にたくさん、知らない人にも、次から次へと拡散されるので、追跡しようがないからだ。

■都合のよいニュースを「真実」と思う人が増加

 マスメディアとネットには、もう一つ、大きな違いがある。マスメディアのニュースは、発信内容が受け手により変わることはない。重要度をマスメディアが判断し、それに応じたサイズで報道される。自分にとって役に立つ情報もあれば、関心を持てない、あるいは耳障りな情報も含まれる。

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AERA dot.編集部
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