日用雑貨を定期的に、早く、便利に届けることにおいて、アマゾンにはライバルはいません。「楽しくない買い物」の市場では無敵。ダッシュボタンを押せば、洗剤、水などがすぐに届く。安売りメインのドラッグストアなどは分が悪いでしょう。現に、ココカラファイン、マツモトキヨシなどは、今年4月からアマゾン「プライム ナウ」の配送網を使った宅配サービスに参画しています。

 でも、そこに「モノを選ぶ楽しさ」はありません。逆に「楽しい買い物」に関しては、対抗する余地が十分にある。

 ファッションなら「ゾゾタウン」が、若者向けのブランドを取りそろえ、独自のアプリでコーディネートを投稿し合えるようにするなどの工夫をこらして感度の高い消費者のニーズを満たしています。アスクルが運営する「ロハコ」は、飲料、化粧品メーカーなどと独自商品を開発して、働く女性を中心に大きな支持を受けています。

 消費者が買い物に求めるのは「楽しさ」。ネットでも同じです。そこを満たすことが、アマゾンへの対抗策になるのではないでしょうか。

(構成/編集部・作田裕史)

AERA 2017年7月24日号