AERA dot.

仏学者が警鐘鳴らす「AIと巨大IT企業の情報操作」

このエントリーをはてなブックマークに追加
AERA

ジャン=ガブリエル・ガナシア/仏ピエール・マリキュリー大学情報学教授。専門は機械学習、コンピューター倫理、デジタルと人間性。AIに関する著書多数(写真:筆者撮影)

ジャン=ガブリエル・ガナシア/仏ピエール・マリキュリー大学情報学教授。専門は機械学習、コンピューター倫理、デジタルと人間性。AIに関する著書多数(写真:筆者撮影)

 人工知能が急速に進歩し、社会に浸透する中、AI(人工知能)が人間を超えるとした「シンギュラリティ仮説」を唱え、人工知能への脅威を煽る声も目立ってきた。

 だが、仏ピエール・マリキュリー大学情報学教授で哲学者のジャン=ガブリエル・ガナシアさんは、近著「そろそろ、人工知能の真実を話そう」(早川書房)で、シンギュラリティ仮説には科学的根拠はなく、むしろこれを喧伝するGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)といった巨大IT企業の戦略に目を向けるべきだと説く。

 フランスではGAFAが個人情報を集めて情報操作をしているといった懸念や、特定の情報にしかアクセスしなくなることで情報の殻に閉じこもったような状態「フィルターバブル」が問題になっているという。ガナシア氏が本誌に語ったその真実とは?

――ガナシアさんはAI脅威論の弊害を指摘しているが、フランスでは具体的にどのような問題があるのか?

 ひとつは、AIの発展で、社会が変貌することへのリスクがある。フランスでは特に職業がAIに置き換えられるのではないかという雇用への不安が大きい。フランスは今でも失業率が高いが、これがさらに増えるのではというのだ。ただし、女性の社会進出のため、実際は3~40年前よりも雇用機会は増えているので、失業への懸念は実際よりも多く見積もられていると私は考えている。

 また、新しいテクノロジーへの不安感もある。さらに人間がテクノロジーによってできることが増えると、神の領域に踏み込むという罪悪感が生じ、恐怖や畏怖の心が生まれている。

――AIの活用は社会経済の発展に寄与する。リスクや恐怖を抑えて、ポジティブに進めるには、どうしたらよいか。

 AIの活用で私たちの生活はより便利になるが、リスクはある。AIによって私たちはより脆弱になっている。技術に依存すると逆に人間は弱くなるからだ。例えばペースメーカーを付けている人は、ペースメーカーが壊れるリスク、乗っ取られるリスクを常に抱えている。こういうことがあらゆるところで起こっているのが現状だ。


トップにもどる  ネット・ITニュース一覧


このエントリーをはてなブックマークに追加