非正規事業者だとメーカー修理より早く安く済む場合が多い(写真はSmart Doctor提供)
非正規事業者だとメーカー修理より早く安く済む場合が多い(写真はSmart Doctor提供)
国の登録事業者であるクレアの「Smart Doctor」は啓発する冊子を作って非正規修理の安心性を訴えている
国の登録事業者であるクレアの「Smart Doctor」は啓発する冊子を作って非正規修理の安心性を訴えている

 スマートフォン(スマホ)の液晶画面が割れたり、水没して端末が壊れてしまったりした時、どうすればいいのだろうか。一般的にAndroid機ならNTTドコモやau(KDDI)、ソフトバンクなどの“ケータイショップ”に持ち込めば対応してもらえる。「格安スマホ」と呼ばれる通信事業者でもそれぞれ修理のサポートを行っている。

 米アップルが製造するiPhoneは直営店の「アップルストア」や、アップルが指定する正規サービスプロバイダーの店に持ち込むか、Web上や電話で申し込めば配送修理を受けることも可能としている。

 ただし、いずれの場合も修理には1週間以上の時間をとられてしまう場合が大半だ。代替の端末を貸してもらえるとはいえ、もはや生活必需品の一部となっているスマホを少しの期間でも手放すのはつらい。修理時に端末内のデータを消されてしまうこともある。

 いざという時に駆け込むのが、どこの都市にもある“街の修理屋さん”だ。これらの修理店では、液晶画面やバッテリーなどの修理をその場で行ってもらえるため、スマホを手放す時間は長くても半日、短いと1時間以内で済むという。なかには「最短15分で修理できます」とうたう業者もある。端末内データの完全保存をうたう修理業者も多い。しかも正規の修理より料金が安いケースも多く、利用者にとっては“駆け込み寺”のようなありがたい存在といえる。

 一方、こうした修理事業者は端末の製造会社と無関係で事業を行っている“非正規事業者”が大半だ。いったん、そこで端末を“分解”してもらった場合、その後はメーカーによる正規のサポートや修理は受けられなくなるケースが多い。“メーカーによる正規のルートを外れたのだから、製造元ではもう責任を負えません。他で面倒を見てもらってください”と、メーカーからは見放されるリスクがあるのだ。

 そしてもうひとつの問題は、こうした非正規の修理は“グレーゾーン”のなかで行われているということにある。

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