50年前の日大闘争に怒り再燃 「相撲部員だった田中英寿理事長に押さえつけられた!」

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 6月10日、東京・お茶の水で「日大全共闘結成50周年の集い」が行われ、元日大全共闘のメンバー約100人に加えて、他大学の活動家(当時)など関係者20人が集まった。日大全共闘の正式名称は「日本大学全学共闘会議」。つまりこの集いは、日大全共闘の「同窓会」である。 

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 1968年、日大は東京国税局から脱税を摘発され、約20億円もの巨額な使途不明金が発覚。これに怒った学生は大学に抗議したが、大学側は警視庁機動隊を導入して学生を厳しく取り締まるようになった。この間に日大全共闘が結成され、やがて各学部の校舎をバリケード封鎖することになる。

 日大全共闘は大学側に古田重二良会頭(当時のトップ)など全理事の退陣、経理の全面公開、不当処分白紙撤回、集会の自由――などを求めて徹底抗戦した。「日大闘争」と呼ばれており、多くの逮捕者を出した。また、右翼団体や体育会、機動隊との衝突で死傷者まで出すことになった。

「日大全共闘結成50周年の集い」の主催者は元日大全共闘の有志がつくった「日大930の会」である。930とは、1968年9月30日に日大全共闘と古田会頭が交渉し、日大全共闘側の要求が通った日にちなむ。

 同窓会は、今年、日大全共闘結成50年を迎えるのを機に半年以上前から計画されていた。「日大アメフト部問題」が起こってから、急きょ開かれたわけではない。

 しかし、元日大全共闘は今回の問題について、1968年の使途不明金問題と重ね合わせていた。メンバーの一人はこう演説する。

「日大の学生を押さえつけるために暴行した側には当時、相撲部員だった田中英寿・現日大理事長がおり、わたしたちと無関係ではありません。50年間、日大の対応は何も変わっていない。わたしたちはいまの学生や教職員とともに闘っていきたい」

 この日、元日大全共闘は理工学部近くの錦華公園(東京都千代田区)に集合。そのあと、約200メートル離れたYMCAアジア青少年センターで同窓会が行われた。

 日大がアメフト部問題で揺れるなか、元日大全共闘が集まることについて、警察も気になっていたようだ。同窓会主催者の1人と、警視庁神田警察署警備課とでこんなやりとりがあった。

警察 ネットで「拡散・日大全共闘が錦華公園からデモをやる」みたいなのが広がっているが、どうなのか。東京都の公安条例で不特定多数の者が集まって集会を開くときは、屋内外を問わず集会届が必要だ。

元日大全共闘 昔を懐かしむ年寄りが、錦華公園で待ち合わせをして同窓会(懇親会)会場のYMCAアジア青少年センターに行くんだ。「50周年の集い」は集会ではなく、懇親会です。
 
 日曜日ということもあり、錦華公園からYMCAアジア青少年センターまでの人通りはほとんどない。警察は「移動に際しては、プラカード・旗は禁止」の旨の話をしたようだが、旗を振りかざしたヘルメット姿の参加者を見ることができた。

 YMCAアジア青少年センターで始まった同窓会では、明治大、専修大、芝浦工業大、中央大、早稲田大、東京教育大(現・筑波大)の全共闘など元活動家からの挨拶があった。旧交をあたためあうシーンも見られたが、元日大全共闘副議長のこの言葉は場内をシーンとさせた。

「このところ、仲間が亡くなってお別れの会に出る機会が多くなった。さびしいものです」

 1968年当時20歳の学生だったことから、参加者の平均年齢は70歳以上になる。鬼籍に入る元日大全共闘メンバーが出てきても不思議ではない。なお、元日大全共闘議長の秋田明大さんは当初、出席予定だったが、日大アメフト部問題で注目されるのを避けて欠席している。

 同窓会で、もっとも大きな拍手を受けて、参加者を感涙させた挨拶があった。今年、日大を卒業したばかりの20代前半の若者の言葉だった。

「田中理事長は日大をどんどんダメにしている。日大の学生、日大出身者、日大全共闘と一緒に田中理事長退陣を求める運動を行っていきたい」

 元日大全共闘は声明を発表した。

「わたしたちの闘いは、一度は勝利したとはいえ佐藤発言を突破できず『古田体制』を残してしまいました。それが50年後の現在まで、日大の暗黒支配をそのまま維持させた原因と考えています。今、わたしたちが田中理事長以下全理事の退陣を求める理由です」
(「佐藤発言」とは、当時の佐藤栄作首相が日大全共闘との交渉「大衆団交」の内容を認めないと話したこと)

 また、声明では日大アメフト部員についてこう記している。

「たった一人で真実を明らかにしたアメフト部M君の勇気に、あらためて敬意を表します。わたしたちは、彼に対する不当な圧力や不利益が及ばないことを願っています」

 日大アメフト部問題は、元日大全共闘に火をつけてしまったようだ。

(文・小林哲夫/教育ジャーナリスト)
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