カンニング竹山「僕が終戦記念日に必ず、手をあわせるワケ」

連載「言わせてもらいますけどね!」

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カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ(撮影/写真部・小原雄輝)

 8月15日、72回目の「終戦の日」を迎えた。カンニング竹山さんは毎年、この日に手を合わせて考えていることがあるという。

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 人間って戦争がどんどん怖くなっていくだろうと思っているんですよ。

 僕らの親の世代には戦争経験者もいたんですけど、戦争を知らない我々が40代後半になって、もっと年上の人も知らないじゃないですか。でも戦争の現実を知っているじいちゃんたちに聞くと、「絶対にダメだ」って言うんですよ。どんな右寄りの考えを持っている人も、「それでも戦争はダメだ」って言う。

 それは地獄だからだと思うんです。知り合いとか人がどんどん死んだり、殺されたり、殺したりして、見たくもないものを見なきゃいけなくなる。でもそれを見てない世代って、ダメだってことはわかっているけど、どんどん薄れていくんだと思うんですよ。で、また戦争起こる。それが人間の歴史の繰り返しなんじゃないかって思うこともあります。

 だからわざとらしく、意図的に「戦争はダメだ」って終戦記念日に考えていかなきゃいけないと思うんですよ。

 毎年、終戦記念日には手だけは合わせています。時間も決めてないし、作法も何も無いんだけど。「この国では戦争をやっていたんだ。今住んでいるところに焼夷弾がガンガン落ちてたんだ」とか考える。そういう日本になっちゃいけないという気持ちですよね。絶対的に平和がいいに決まっていますから。深くはなくても、何か考えたほうがいいのかなと思います。

「戦争やってたんだぞ、僕らは。またやってしまうかもしれないぞ」って。

 人間はそういうものだと思っておいたほうがいい。ひとつ歯車が狂ったら「戦争」になってしまうと思うから。

 僕が通った地元の小学校が、ビックリするほど左翼的な思想の学校だったんですよ。どうして日教組色の強い先生がいっぱい来ていたのか、理由はわからないですけど。戦争のこととか腐るほど授業でやらされて、君が代なんか歌ってもいけないし、日の丸を掲げただけで先生同士が殴り合いのケンカしているのを見たこともある。

 そして同じ校区なのに、中学は右寄りの学校で、入学して一番初めに日の丸に向かって君が代を覚えた。僕らの同級生の間では「9年間で右と左でバランスが取れていた」って話すんですけど、子どもながらに「思想っていうのがあるんだな」とか、「それを持つのは自由なんだな」とか、そこで言われていることが「正しいのかどうか」を考えた。「思想」を客観的に見るようになっていたかもしれないですね。教育的には決して良くないと思うんだけど。

 小さいころから、沖縄の平和祈念公園や広島、長崎の原爆資料館などには行っていました。子どもたちが行くのを嫌がったり、中高生だと「つまんねえよ」って言ったりするかもしれないけど、それでも無理矢理でも見に行ったほうがいいと僕は思うんです。そこで感じることがあるから。同じような考え方を持っている後輩芸人の髭男爵・ひぐち君に誘われて、鹿児島の知覧特攻平和会館に2人で行ったこともあります。

 10年ぐらい前ですが、妻と終戦祈念日の靖国神社に行ってみたんですよ。どうなってるか見てみたくて。そしたらすごいことになってましたよ。人がいっぱいいて、日章旗やのぼりもいっぱい。

 おじいちゃんの兵隊さんたちは魚雷の周りで同窓会をやってます。バカなふりして「これは何のミサイルですか?」って話しかけたら、「我々の戦友はこれに乗って死んでいったんだよ」ってずっと説明してくれた。隣の遊就館で、すごい右寄りの映画が上映されていて、いろいろあるなーって思いながら帰ってきた記憶がありますね。

 戦跡や記念館に行って考えてみるっていうのは、僕らの世代には大事だなことだと思います。靖国神社は政治家の参拝で問題になることが多いけど、戦争で亡くなった方たちが眠ってるわけだから、平和を祈りに行くというのもありだと思います。靖国じゃなくても、戦争はいけないんだ、家族が死んじゃうんだ、人の家族を殺しちゃうんだって思うだけでも良いんじゃないかな。ちょっと前までシリアとかで起こっていたことが日本でも起こる可能性がある。それは嫌だなって。

 ただの理想だって言われるかもしれないけど、それが僕にできることです。