子どもたちが留学する前は、私は仕事をセーブして子育て中心の生活を送っていました。その間、つい「言いたくなってしまう」私の性格で、よけいなひとことを言ってあとで後悔したり、自己嫌悪に陥ったりしたこともたくさんありました。
でも、数カ月離れていると、自分たちを客観視できる余裕ができるんですね。ですから、お互いを以前よりずっと思いやれるようになるし、自分の気持ちや聞いてほしいことをどんどん話せるようになるのです。
思っていたよりもずっと早く子どもたちを手放すことになりましたが、この距離感が私にはとても心地いいのです。ずっといっしょにいたら、また違った親子関係になっていたでしょう。その点、子どもたちにとても感謝しています。

「やりたいことをしなさい。失敗だって大切な経験」
――瀬戸さんがお子さんたちに大切にしてほしいことはどんなことですか?
とにかく「自分がやりたいことをやる」ということです。たとえ失敗しても、それは貴重な経験になります。そしてたくさん「笑う」こと。これから、試練を味わうこともあるでしょう。そんな中でも笑える時間をつくって、気持ちのメリハリがつけられるようになってほしいと思っています。
子どもたちが帰国した際は、ドライブにも出かけます。私は、すき間時間があればひとりでサッと出かけるくらい、運転が好きなんです。ですから、子ども達とのドライブもとても嬉しい時間なのですが……。車に乗ったとたん、ふたりともスマホにくぎ付けです。

学校ではスマホの使用が禁止されているので、日本にいるときが自由に触れるチャンス。それはわかるのですが「こら! 車に乗っているときくらい、景色を見なさいっ!」とつい、声を荒げてしまうんです(笑)。
(取材・文 三宅智佳)
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