瀬戸康史(せと・こうじ)/1988年生まれ。多くのドラマや映画で活躍。ミュージカル「日本の歴史」に出演中。10月に「劇場版 ルパンの娘」が公開予定、12月には主演舞台「彼女を笑う人がいても」(仮題)が控えている(撮影/写真部・東川哲也)
瀬戸康史(せと・こうじ)/1988年生まれ。多くのドラマや映画で活躍。ミュージカル「日本の歴史」に出演中。10月に「劇場版 ルパンの娘」が公開予定、12月には主演舞台「彼女を笑う人がいても」(仮題)が控えている(撮影/写真部・東川哲也)

 6カ月の育児休業を取得した男性会社員を主人公にしたWOWOWオリジナルドラマ「男コピーライター、育休をとる。」。主演の瀬戸康史さんは撮影自体で育児の大変さを実感した。男性育休が根づいていない日本社会に、この作品が投げかけるものは大きい。AERA 2021年7月19日号の記事を紹介する。

【「男コピーライター、育休をとる。」の場面写真はこちら】

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――主人公は、広告会社のコピーライター・魚返(うがえり)洋介(瀬戸康史)。ある晩、彼は妻・愛子(瀧内公美)から妊娠したことを聞かされる。大喜びの魚返は、妻が漏らした「(育児休業を)取れば」の一言に押され、育休の取得を決意する。会社の制度もよく知らぬまま、上司の浜崎(村上淳)に半年の育休を申請するが、半年は社内の男性だれもが取ったことのない未到の領域だった……。瀬戸さんは、本作のオファーを受けた理由をこう話す。

 1話約15分という尺の見やすさもありますし、やってみたら楽しいだろうと思う部分がたくさんあったので受けさせていただきました。33歳になり、役者として育児をする父親役も相応な年なのかなという思いもありました。出演してとても楽しかったのですが、「育児ってこんなにつらいものなんだ」ということも知りました(笑)。

 例えば、「育児中は眠れない」ってよく聞くじゃないですか。僕は「そうは言っても」と、あまり本気にしていなかったんです。ところが、山口淳太監督は「本当に眠れないんです。(目の下に)クマをもっと足しましょう」と言って、僕は目の下のクマを描き足されることに。魚返が子育てから逃げ出してラーメン屋へ駆け込むシーンでは、「ここでラーメン屋に行くなよ」と僕は思いましたが、山口監督に「これはマジです。その場からいなくなりたくなるんですよ」と熱弁を振るわれました(笑)。今回、スタッフは監督をはじめ、子どもが生まれたばかりとか育児経験者の男性が多かったんです。わからないことはその都度、聞けばわかるという状況だったのは、ありがたかったですね。

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