【年齢別・複利運用3パターン・40代】毎月、投資信託を定額・複利(利益を元本に加えながら運用)で積み立てた場合の資産の増え方をシミュレーション。「現実に達成可能」な利率&年数の組み合わせを目立たせている。【データ提供:SBI証券】(AERA 2021年7月5日号より)
【年齢別・複利運用3パターン・40代】毎月、投資信託を定額・複利(利益を元本に加えながら運用)で積み立てた場合の資産の増え方をシミュレーション。「現実に達成可能」な利率&年数の組み合わせを目立たせている。【データ提供:SBI証券】(AERA 2021年7月5日号より)

 このシミュレーションは「税引き前」であることに注意したい。通常、投信などの金融商品で得られた利益からは、約20%の税金が差し引かれる。長く積み立て投資を続けるほど、このロスは軽視できない。その意味で厚生労働省(国民年金基金連合会)のiDeCoか、金融庁のつみたてNISAを利用して投信に積み立てるのが賢い。

 iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」で、投信をはじめとする金融商品に掛け金を毎月積み立てると、60歳以降にその運用成果を受け取ることができるという制度だ。会社員で企業型確定拠出年金制度やその他の企業年金がない場合は毎月2万3千円まで、自営業者は最大6万8千円まで。メリットは、運用で得られた利益が非課税になることと、掛け金が所得控除の対象(所得税と住民税の軽減)となることだ。受け取る際には課税対象となるが、その際も税制優遇措置がある。

【年齢別・複利運用3パターン・50代】毎月、投資信託を定額・複利(利益を元本に加えながら運用)で積み立てた場合の資産の増え方をシミュレーション。「現実に達成可能」な利率&年数の組み合わせを目立たせている。【データ提供:SBI証券】(AERA 2021年7月5日号より)
【年齢別・複利運用3パターン・50代】毎月、投資信託を定額・複利(利益を元本に加えながら運用)で積み立てた場合の資産の増え方をシミュレーション。「現実に達成可能」な利率&年数の組み合わせを目立たせている。【データ提供:SBI証券】(AERA 2021年7月5日号より)

■iDeCoかNISAか

 一方、つみたてNISAは個人投資家向けの税制優遇制度。毎年40万円(1カ月あたり約3万3千円)ずつ、最長20年間で最大800万円の非課税枠が与えられる。つみたてNISA対象の投信から好きなものを選んで積み立てるだけ。得られた利益には課税されない。こちらは所得控除の恩恵なし。

 iDeCoとつみたてNISAはどちらを優先すればいい?

「iDeCoは税制優遇が厚い半面、60歳になるまで換金できないのが難点です。60歳前に資金が必要ならつみたてNISAを優先。いつでも換金できるので、教育資金や住宅資金など少し先の予定に活用できます。老後が差し迫っておらず、資金に余裕もあるなら、つみたてNISAに加えてiDeCoも利用するのが理想的です。所得控除の特典に着目すれば、iDeCoは収入の多い(納税額が高い)人ほどメリット大です」

 なお、iDeCoは2022年5月から65歳になるまで加入できるようになる。(金融ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)

AERA 2021年7月5日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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