イラスト/宮野耕治(AERA6月14日号から)
イラスト/宮野耕治(AERA6月14日号から)

 最後に、マスクをした状態での呼吸について、東京工芸大学の山本正彦教授は鼻呼吸で深く呼吸することの大切さを強調する。

「哺乳類は5500種いるといわれますが、口呼吸をするのは人間だけなんです。(体を守る役割をする)白血球の活性度も鼻呼吸で上がるという研究があります」(山本教授)

 息苦しいと感じると、つい口呼吸になってしまいがちだ。だが、実は口呼吸よりも鼻呼吸の方が酸素を取り込む量は多いという。また、1回換気量(1回の呼吸で気道や肺に出入りするガスの量)が300ミリリットルの浅い呼吸を20回繰り返すのと、600ミリリットルの深い呼吸を10回繰り返すのでは、肺に届く酸素の量は後者の方が多くなるという。これは1回の呼吸ごとに「ロス」のようなものが生じるからだ。

 普段、無意識のまましている呼吸に、マスクが大きく影響を及ぼしているのは間違いない。コロナ時代のマスクリテラシーを身につけ、危険を避けながらうまく付き合っていきたい。(編集部・高橋有紀)

※AERA 2021年6月14日号より抜粋