イラスト/宮野耕治(AERA6月14日号から)
イラスト/宮野耕治(AERA6月14日号から)

 また、マスクをしていると表情筋を使わなくなるため、頬をつり上げる大頬骨筋(だいきょうこつきん)、頬の張りを保つ小頬骨筋(しょうきょうこつきん)などの筋肉もコリ固まる。

■美顔ローラーが役立つ

 このように顔や首の筋肉が収縮し硬くなると、血流障害を引き起こす。すると痛みの原因物質である「プロスタグランジン」が発生し、頭痛を感じるのだという。市販の頭痛薬はこのプロスタグランジンの生成を抑えるもので、コリの頭痛にはこうした痛み止めも効くという。

 他にも、コリをほぐすことで楽になる、と丹羽院長は言う。

「マスクの中で口を動かしたりガムを噛んだりして、意識的に表情筋を動かしましょう。美顔ローラーなどを使ったマッサージで改善される人も多くいます」

 ただしマッサージで効果を得るには5分以上必要で、かつ毎日ほぐすことが大事だという。

 文京学院大学准教授で理学療法士の上田泰久さんも、マスクによる末梢(まっしょう)神経と筋・筋膜の圧迫に伴って首コリや頭痛が起きると説明する。

「マスクの耳にかけるゴムの部分は、ちょうど頸部(けいぶ)の末梢神経がある部分です。大耳介(だいじかい)神経や小後頭(しょうこうとう)神経などの神経が圧迫されることで、痛みを感じるようになります」(上田准教授)

■鼻呼吸で深呼吸

 耳の後ろには前述の胸鎖乳突筋があり、この筋肉やそこからつながっている筋膜・神経が圧迫されると、首まわりにダルさを感じる状態になる。対処法としては、まずは手でゴムの部分を緩めて耳の後ろの圧迫を取り除くこと。さらに血流をよくするために耳の周辺をほぐすことが有効だという。

「軽く耳を引っ張ったり、耳の後ろの筋肉を揉んだり、レンジでチンしたタオルで温めたりするのも、効果があるでしょう」(同)

 ただ、片頭痛とコリの頭痛は、どちらか一方ではなく、両方を併発するケースも多いという。効いていた薬が効かなくなったり、月6日以上起きたりするなら、病院を受診してほしいと丹羽院長はアドバイスする。

次のページ
つい口呼吸になりがち