「からあげにつける衣は、片栗粉と小麦粉を一対一でミックスしています。みそピーをからめる前は、からあげとして一番オーソドックスかもしれません」
■とにかく揚げるべし
インパクトなら忘れてはいけないのが、新潟の「半羽揚げ」だ。鶏の半身をまるごと揚げる大胆なからあげは、地元の飲食店が生み出した。
「カレー風味がいいアクセント。しっかりと揚がった端が香ばしい。骨つきはやっぱり美味しい」(さわけんさん)
下味などの漬け込みはせず、揚げる直前に塩とカレー粉をまぶして味をつける。衣は片栗粉だったり天ぷら風だったりと、特別決まりはないという。今回は小麦粉と片栗粉を混ぜた。
「皮はバリッとして、中のお肉はジューシーです。にんにくを入れても、おいしいですよ」
上品な味わいが好きな人におすすめなのは、「竜田揚げ」だ。醤油としょうが汁を下味に漬け込み、片栗粉をまぶして揚げる。
「サクッとした衣に醤油の風味。定番の味って感じ」(さわけんさん)「子どものころによく食べたなー。なつかしい気持ちになる」(記者)
「いわゆる、由緒正しいからあげです。中国料理では、しょうゆの煮込みを紅焼(ホンシャオ)と呼び、しょうゆで揚げるものを赤で表現してきました。奈良の竜田川は紅葉の名所でもあり、料理名もそれに由来したと言われています」
最後は、ブームの火付け役にもなった「中津」のからあげ。にんにく、生姜、ネギをたっぷり利かせた塩だれに鶏もも肉を漬け込み、小麦粉を薄くまぶす。
「にんにくと胡椒が利いてパンチのある味。今のトレンドはこの味!」(さわけんさん) 「マスク生活の今こそ食べまくりたい!」(記者)
「鶏肉についた水分で少ししっとりするくらいがポイントです。水分量が多いと衣が分厚くなってしまう。一度に揚げるのではなく、低温油と高温油で2度揚げすることで、ジューシーさも増します」
さわけんさんの説明を聞きながら、中津をパクリ。口に入れた瞬間、にんにくの香りとともに幸せが広がる。さわけんさんは続ける。
「からあげは正義。まあ、難しいことは考えず揚げればいいんです」
(編集部・福井しほ)
■さわけんさんの自宅で作れる六つのご当地からあげレシピ
【パサつかない3カ条】
1.肉を適度な塩分で漬け込む
適度な塩分を含ませることで、揚げた時の保水力があがる
2.肉の温度を上げすぎない
肉の内部が65度を大きく超えると、肉は縮んで硬くなってしまう
3.余熱を上手に活用する
一度揚げ後に余熱を使って肉に熱を行きわたらせ、二度揚げで表面の水分を飛ばす
※AERA 2021年5月24日号
福井しほ
大阪生まれ、大阪育ち。
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