都電400型は東京を代表する木造高床式単車で、1924年から1925年にかけて200両が製造された。一之江線に残った最後の4両が1952年まで稼働した。東荒川(撮影/江本廣一・所蔵/筆者:1950年12月16日)
都電400型は東京を代表する木造高床式単車で、1924年から1925年にかけて200両が製造された。一之江線に残った最後の4両が1952年まで稼働した。東荒川(撮影/江本廣一・所蔵/筆者:1950年12月16日)

 写真は江本廣一氏が一之江線(通称今井線)東荒川停留所で撮影された都電400型高床式単車。戦後になって二回改番された三代目にあたる402号は旧475号で、1923年鶴見木工(浅野財閥系の造船関係会社)の製造。車体は木造で、自重9.1トン、定員52(12)名、台車は軸距1830mmのブリル21E型高床式単台車を装備していた。

「歴史のイフ」を想像するのは愉しいことだ。土佐電鉄300型は都電6000型と同系の外観だったことから、もしも、木造の都電400型単車が鋼体化改造されたなら、土佐電鉄の300型に類似した400型鋼製単車となったかな……という想像を巡らしている。

■撮影:1968年4月2日

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諸河久

諸河久

諸河 久(もろかわ・ひさし)/1947年生まれ。東京都出身。カメラマン。日本大学経済学部、東京写真専門学院(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。鉄道雑誌のスタッフを経てフリーカメラマンに。「諸河 久フォト・オフィス」を主宰。公益社団法人「日本写真家協会」会員、「桜門鉄遊会」代表幹事。著書に「オリエント・エクスプレス」(保育社)、「都電の消えた街」(大正出版)「モノクロームの東京都電」(イカロス出版)など。「AERA dot.」での連載のなかから筆者が厳選して1冊にまとめた書籍路面電車がみつめた50年 写真で振り返る東京風情(天夢人)が絶賛発売中。

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