ジオラマ食堂の猫たちの様子は、ツイッターやユーチューブでも公開している。「猫家族は私たちに生きる希望を与えてくれました」とオーナーの寺岡さん。今後は「保護猫活動に力を入れたい」(ジオラマ食堂のツイッター画面から)
ジオラマ食堂の猫たちの様子は、ツイッターやユーチューブでも公開している。「猫家族は私たちに生きる希望を与えてくれました」とオーナーの寺岡さん。今後は「保護猫活動に力を入れたい」(ジオラマ食堂のツイッター画面から)

「僕らはジオラマ製作に長年携わってきたプロですから。直すのは苦にならないです」

 と鉄道──。日本全国、猫がいるところに鉄道があり、鉄道があるところに猫がいる。

「猫と鉄道」と言えば、和歌山を走るローカル線、和歌山電鐵貴志川線の終点・貴志(きし)駅(紀の川市)の三毛猫駅長「たま」だ。

 もともと、たまは貴志駅に隣接する商店の飼い猫で、駅売店横の猫小屋で飼われていた。しかし猫小屋が公道に置かれていたため立ち退きを迫られ、困った飼い主が同電鐵の小嶋光信社長(76)に駅舎で飼ってほしいと直談判。こうして07年、駅にすまわせるため「貴志駅長」に抜擢。すると、そのかわいらしさから国内外からファンが駅に。たまは「招き猫」になり、利用客の減少から廃線危機にあった貴志川線を救った。

和歌山電鐵貴志駅の駅長「ニタマ」(各社提供)
和歌山電鐵貴志駅の駅長「ニタマ」(各社提供)

■ローカル線の救世主

 たまは15年に永眠。後を継いだのが、同じ三毛猫の「ニタマ」だ。岡山県の国道で車に轢かれそうになっていたところを、通りかかった女性に保護された。その後、和歌山電鐵の親会社である岡山電気軌道(岡山市)に引き取られ同電鐵に来て、たまが亡くなると駅長に就任した。「たまに似た二番目のたま」ということから名づけられた。

 ふさふさした毛並みに凛々しい顔立ち。ニタマの魅力は?

「美猫です。気品たっぷりです」

 と、同電鐵広報担当の山木慶子さん。

 今や、たまに負けない存在感を示すニタマ。米タイム誌の「最も影響力のある100匹」(16年)に選ばれ、今年1月には同電鐵の「執行役員」にも昇格した。普段は駅長室にたたずみ、観光客をお出迎えする。

 貴志川線には、日本を代表する工業デザイナー水戸岡鋭治氏が手掛けた初代たま駅長をモチーフにしたラッピング車両「たま電車」も走っていて、こちらも人気だ。

 それにしても、なぜ猫と鉄道はこんなにも相性がいいのか。

『ねこ鉄 ~猫と鉄道の出会いの風景~』(講談社)の写真集がある、カメラマンの花井健朗(たけお)さんに聞いた。

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