(撮影/写真部・張溢文)
(撮影/写真部・張溢文)

――残り2割はどのように考えているのでしょうか。

 未定が多いです。やめるともやめないとも言い切らない。新型コロナウイルスがどう動くかわからず、決められないという回答が多かったです。

――コロナ禍を乗り越えた21年卒生にとって、今回の就活は社会人生活にどのような影響がありますか。

 21年卒生の場合は、入社するまでのコミュニケーション機会や懇親会がなくなり、組織への帰属感を醸成する時間が圧倒的に少なくなってしまいました。入社後にどれだけエンゲージメントを高められるのかという課題が後々出てくると考えられます。

 入社予定の企業とのコミュニケーション不足に不安を抱かれているなら、採用担当者の方にそれを伝えてみてください。大学が閉鎖している中で学生を呼べないと考えている企業も多いです。場合によっては対策を行ったうえで機会を用意してくれる可能性もありますし、直接会うことはできなくても、オンラインで話す場などを作ってくれるはずです。

――学生からアプローチをすることも大切ということですね。コミュニケーション不足によって、数年後の離職率が上がってしまう可能性もあるのでしょうか。

 未知数ですが、起こりうるかもしれません。企業はそれを念頭において、内定者フォローや新人研修を組み立てる必要があります。20年卒生も入社後すぐに在宅勤務になったりと、対面コミュニケーションが不足しています。子育てではありませんが、一番大事な時期に関係性を作ることができなかった企業も多かったのではないでしょうか。例年より、新入社員の心が離れないようなケアが必要かもしれません。

――コロナ禍の影響はまだ続きそうです。今後の就活はどのようになるのでしょうか。

 新型ウイルスの影響を最も受けるのは21年卒生ではなく、現3年生である22年卒生です。21年卒生はインターンさえ行っていれば、企業の人とコミュニケーションをとれたため、その後の選考がオンライン化しても、人となりがわかる状態でした。

 ところが、今の3年生はインターンの多くがオンラインでした。100%オンラインで完結して入社することはあり得ないと思いますが、このコミュニケーション量で就活を完結させるのは企業にとっても初めてのこと。本当の初年度は今年ですが、心配なのは来年の就活生です。

次のページ
インターンシップにも変化