自信が好む”団塊ジュニア世代の味”を丼におとしこむ(筆者撮影)
自信が好む”団塊ジュニア世代の味”を丼におとしこむ(筆者撮影)

「上大岡でドミナント出店を狙ったというよりは、結果的に3店舗になってしまったんです。エリアのニーズに応え続けていたらこうなりました。『G麺7』を育ててくれた街への恩返しですね」(後藤さん)

 後藤さんのお店は全店舗味が違うが、その理由は、自分が今いちばん旨いと思う一杯をメニュー化しているだけだというシンプルなもの。そのときの自分の年齢に合わせた作品を作っている感覚であり、それがその店でしか食べられないラーメンの誕生につながっている。

「自分が旨いと思う味は“団塊ジュニア世代の味”なんですよ。だから多くの人たちに受け入れてもらえているんだと思います。これから年齢を重ねていくのに合わせて、だんだんシンプルなラーメンになっていくかもしれないですけど(笑)」(後藤さん)

 そんな後藤さんの愛する一杯は、同じ横浜エリアの弘明寺で人気を博するラーメン店が作る横浜家系ラーメン。各地に家系ラーメンがたくさんある中でこの店を選んだのはなぜなのか、その理由に迫ってみよう。

田上家/〒232-0056 神奈川県横浜市南区通町3-48/11:00~14:00/17:00~23:00※売り切れ次第終了、火曜定休/筆者撮影
田上家/〒232-0056 神奈川県横浜市南区通町3-48/11:00~14:00/17:00~23:00※売り切れ次第終了、火曜定休/筆者撮影

■年間100杯食べる強者も!横浜家系の総本山「吉村家」の直系店以上に直系の味

 横浜市南区通町にある「横浜ラーメン 田上家」。横浜市営地下鉄・弘明寺駅から徒歩7分、京浜急行電鉄・弘明寺駅からは徒歩12分と駅からは少し離れた鎌倉街道沿いにある。濃厚な豚骨醤油が特徴の横浜家系ラーメンを提供していて、開店5年ながらこの地域を代表する人気店である。

 店主の田上州(しゅう)さん(45)は1975年に宮崎に生まれた。手に職をつけようと飲食の世界に飛び込み、寿司屋からスタートし、和食、イタリアンなど数々の飲食店で修行をする。経験を積む中で、田上さんが目を付けたのがラーメンだった。数々の料理を覚えなければならない和食やイタリアンに比べ、ラーメンは一つのメニューを極めれば、それでやっていける。そう思って最初に門をたたいたのは、自宅の近くの家系ラーメン店だった。

店主の田上州さん。家系ラーメンの濃厚な豚骨醤油に惹かれたという(筆者撮影)
店主の田上州さん。家系ラーメンの濃厚な豚骨醤油に惹かれたという(筆者撮影)

 今や豚骨醤油ラーメンを代表する存在となった横浜家系ラーメンは、74年に横浜で創業した「吉村家」を総本山とする。その後40年以上にわたってラーメン一本で行列を作り続ける同店の流れをくむ店が神奈川県を中心に広がり、家系は全国的な人気を誇るラーメンの一つになった。田上さんもその虜になった一人だ。

次のページ
「吉村家」の中毒性