緩急走/動きを検知し、眼前の画面内のバーチャルプレーヤーが連動して動く。バタバタと走る「急」とお尻でバランスを取る「緩」のゾーンがある。いすは車やバイクのシートなどを供給するメーカーが開発(撮影/今村拓馬)
緩急走/動きを検知し、眼前の画面内のバーチャルプレーヤーが連動して動く。バタバタと走る「急」とお尻でバランスを取る「緩」のゾーンがある。いすは車やバイクのシートなどを供給するメーカーが開発(撮影/今村拓馬)

 参加者に垣根はない。たとえば、五輪では健常者と障がい者はそれぞれ「オリンピック」「パラリンピック」と異なるフィールドで戦うが、ゆるスポではどちらも同じチーム、対戦相手として戦うことができる。

 座って足をバタバタさせる「緩急走」も、そう。いすに座ってお尻でバランスを取ったり足をバタバタさせたりする動きを検知して、目の前に置かれた画面に映るバーチャルランナーを操作する競技だ。座って行うため、車いすの人でも子どもでも“イスリート”として参加できる。

 物は試しと、学生時代に安定して体育の成績が5段階中2だった記者も体験してみた。

 最初に選んだのは、先の「緩急走」。今までの人生で一番お尻の重心に意識を向けたのではと思うほど、真剣になる。「緩」のゾーンでは、一度定まった重心を崩さないよう神経をとがらせる。バーチャルランナーが面白いくらいスイスイ進む。「急」のゾーンに入ると、足をとにかくバタバタさせて勢いをつけ、スピードアップさせる。かと思えば、また「緩」のゾーンに突入し、お尻集中タイムに。

 繰り返すうちに、気づけばゴールしていた。しかも1等賞だ。子どもたちを相手に大人げないと自認するも、徒競走で1位になったのは初めてだったので、うれしさが上回る。

緩急走を楽しむ参加者ら(撮影/今村拓馬)
緩急走を楽しむ参加者ら(撮影/今村拓馬)

 気分も良くなったところで、足取り軽く、次の競技へ。「ゆるスポ」イベントに4年連続で参加しているという20代の男性がオススメしてくれたのは「イモムシラグビー」だった。「ゆるスポでは、一番ハードかも」と言われたが、とはいえゆるいんでしょ、と高をくくる。

 肩から下がすっぽり収まるほどの緑色のコスチュームに身を包み、肘当てをつける。ゴロンと寝ころべば気分はまるでイモムシ……とまではならないが、気持ちはゆるい。5対5に分かれて、ラグビーボールをパスしていく。前にボールを投げてパスするのはNGだが、転がすのはOK。「ほふく前進」と「転がり」をしながら巧みにパスを続けてトライゾーンを目指す。反則をしたら、ゴールが決まるまでひっくり返る「イモムシフリーズ」をしなければいけない。

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”ゆるい”のに激しい筋肉痛が記者を襲う!