あきやま・ひろき/1991年生まれ、お笑いトリオ「ハナコ」のメンバー。初のイラスト集『#秋山動物園』(朝日新聞出版)が発売中(撮影/写真映像部・上田泰世)
あきやま・ひろき/1991年生まれ、お笑いトリオ「ハナコ」のメンバー。初のイラスト集『#秋山動物園』(朝日新聞出版)が発売中(撮影/写真映像部・上田泰世)

 思ってたより長居されるカバ、おにぎり握ったあとのカニ、なにもしたくない日のモモンガ……。思わずくすりとほほ笑んでしまう動物たちが並んでいる。AERA 2023年5月22日号から。

【この記事の写真をもっと見る】

*  *  *

「かわいい」「癒やされる」「面白い」。そんな言葉が飛び交った。

 お笑いトリオ「ハナコ」の秋山寛貴さん(31)の初のイラスト集『#秋山動物園』のサイン会イベントでのことだ。

 4月20日、東京・高田馬場の芳林堂書店で、一人一人と会話し、サイン本を渡すという会の趣旨から、参加は抽選で選ばれた15人。応募に必要なキーワードは秋山さんがパーソナリティーを務めるラジオ「レコメン!」(文化放送)で発表、スタート時刻は朝9時という条件をものともせず、全国からファンが集まった。

■描き続けたイラスト

 前日に北海道から叔父と来たという10代女性は「コントもイラストもすごく好き。めっちゃかわいい。ずっと大切にしていきます」と語った。広島からバスで上京した男子学生(22)は「秋山さんのコントのファンで、アカウントをフォローし始めて『#秋山動物園』を知った。ユーモア、温かみがあり、癒やされる」。東京都江戸川区在住の30代女性は「ラジオでの話し口調が優しく、絵本にも人柄が表れている。視点も、びっくりしたり、確かにそうだよな、と思ったり、新鮮で発見があるのが楽しい」と話した。

「ファンの方が足を運んでくれただけで本当にうれしい。それも平日で仕事や学校がある中、朝早い時間帯に……。『有休を取りました』という方もいて、僕のために有休を1個使ってくれたんだ、と、こんなにありがたいことはないと感じました」

 秋山さんはそう語った。小さい頃から絵を描くことが好きで、高校では普通科美術工芸コースに進み、美術を学んだ。いつかは絵の仕事に就きたいという気持ちもあったが、もう一つの夢である芸人の道へ。しかし、「ハナコ」結成後もずっと、移動時間や待ち時間を使ってイラストを描いていたという。

次のページ