11日の千葉の地震では転倒などによる負傷者が確認されたほか、交通機関も一部混乱した。落下したガラス窓を消防署員らが撤去する場面も(写真/朝日新聞社)
11日の千葉の地震では転倒などによる負傷者が確認されたほか、交通機関も一部混乱した。落下したガラス窓を消防署員らが撤去する場面も(写真/朝日新聞社)

 5月5日に石川県で最大震度6強、11日には千葉県で5強の地震があった。

 これらの地震に関連はあるのか。さらなる大地震の可能性は? 遠田晋次・東北大学災害科学国際研究所教授に聞いたAERA2023年5月22日号の記事を紹介する。

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 5月11日に千葉県木更津市で震度5強を観測した地震は、フィリピン海プレートの内部で起きた地震です。地震の規模を示すマグニチュード(M)は5・2で、自然現象としては特別なものではありません。そのくらいの規模の地震を起こす断層はプレート内には無数に存在しますから、特段何かが起こったというわけではなく、普段通りの地震活動の一環と言えます。また、最大震度は5強と比較的大きいですが、強く揺れたのは狭い範囲でした。近年は地震観測網の整備が進み震度計の数も増えているため、局所的な強い揺れを観測しやすくなっている側面もあります。

 また、5日には石川県の能登半島で最大震度6強の強い地震がありました。この地域は2020年末ごろから地震が頻発しています。昨年6月にM5・4、最大震度6弱の地震がありましたが、今回はさらに大きく、M6・5でした。地震の発生回数と大きな地震が起きる可能性には相関関係があります。群発地震で平常時の300倍とも言われる回数の地震が起きているわけですから、その分大きな地震が発生する可能性も高く、それが起きてしまったということです。このあたりは群発地震が起き始めたころから地面の隆起が確認されていて、地盤がかなりひずんだ状態になっています。地震が起きやすい状態が続いていて、今後も注意が必要です。

 また、地震の後は地盤が緩み、土砂崩れが起きやすくなります。今回の地震の後も、気象庁は大雨警報・注意報の発表基準を通常より引き下げて運用し、注意を促しています。同時に、雨が降ったあとに地震が起きるのも危険です。能登では地震のあとにかなり強い雨が降り、木更津も雨になりそうです。揺れの被害があまりなかった地域でも、今後の余震で雨を含んだ斜面が崩れる可能性があり、警戒が必要です。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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