東京証券取引所執行役員の長谷川高顕さん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
東京証券取引所執行役員の長谷川高顕さん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

 新しいNISAは5年投資が正解という意見をネットで見かける。本当か? アエラ増刊「AERA Money2023春夏号」では、過去30年の日本株と米国株の株価データを元に、「5年で1800万円」と「10年または20年で1800万円」の投資結果を検証している。

【図版はコレ】「最短5年で1800万円投資は正解?」の30年検証

 新しいNISAに年360万円を投資すれば、最短5年で上限の1800万円を使い切る。ネット上ではインフルエンサーが「できるだけ早く非課税枠を埋めるのが正解」と声高に叫んでいる。

 確かに市場はできるだけ早く長くお金を置くのがいいとされる。だが、その言い分を鵜呑みにして5年で1800万円を投資し、6年目に暴落したら後悔する人もいるはず。リスク許容度もわかっていない初心者も見るような場所で「5年で入れろ」と言い切るのは……。

 本誌は東京証券取引所のデータ協力を得て確かめることにした。コメントをいただいたのは、東証執行役員の長谷川高顕さんだ。

 対象は日本株の「TOPIX」と米国株の「S&P500」。TOPIXは配当込みの1989~2022年、S&P500は1982~2022年の間で計10種類の期間を、それぞれ「360万円×5年投資」または「年180万円×10年投資」と「90万円×20年投資」で比較検証した。

「日本株には投資しないから関係ない」と思うかもしれないが、今後の米国株が過去のTOPIXに似た値動きになる可能性もある。

 先に10種類の期間を整理しておこう。(1)~(4)、(7)~(10)は2008年のリーマン・ショックによる暴落を考慮したうえでの検証だ。

(1)日本株…直近30年間。30年目の2022年に売却

(2)米国株…直近30年間。30年目の2022年に売却

(3)日本株…バブル期ピークの1989年から30年間。30年目の2018年に売却

(4)米国株…1982年から30年間。30年目の2011年に売却

(5)日本株…リーマン・ショックの2008年から15年間。15年目の2022年に売却

(6)米国株…リーマン・ショックの2008年から15年間。15年目の2022年に売却

(7)日本株…1999年から15年間。15年目の2013年に売却

(8)米国株…1999年から15年間。15年目の2013年に売却

(9)日本株…2004年から15年間。15年目の2018年に売却

(10)米国株…2004年から15年間。15年目の2018年に売却

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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最短5年投資vs長期投資の結果は