観光客でにぎわいを取り戻しつつある。人の移動が活発になれば、感染が増えることが報告されている(撮影/写真映像部・東川哲也)
観光客でにぎわいを取り戻しつつある。人の移動が活発になれば、感染が増えることが報告されている(撮影/写真映像部・東川哲也)

 新型コロナウイルス感染拡大から3年余り。5月8日から、感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられた。ワクチン接種は今度どうなるのか。川崎医科大学教授・中野貴司さんに聞いた。AERA 2023年5月15日号から。

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Q:ワクチン接種は今後どうなりますか? これから何回打てばいいですか?

A:2023年度中は公費負担が続き、無料で打つことができる。5月8日から重症化リスクの高い人や医療従事者らへの追加接種が始まる。9月以降はリスクの高い人に加え、リスクの低い人への追加接種も始まる。

 ワクチン接種は感染症法ではなく予防接種法に基づいて行われている。ただし、感染症法上の分類変更は、接種の公費負担に影響する。5類の季節性インフルエンザのワクチンは、高齢者には自治体による一部公費補助があるが、それ以外の年代は基本的に自費での接種だ。

 新型コロナウイルスは、23年度中は生後6カ月以上のあらゆる年代に対し、公費によるワクチン接種が続く。重症化リスクの高い人や医療従事者らは5月8日以降と9月以降の年2回、それ以外の5歳以上は、9月以降に1回、追加接種が受けられる。5~11歳はオミクロン株にも対応したワクチンの接種開始が遅かったため、9月以前も打つことができる。

川崎医科大学教授 中野貴司さん/専門は小児科、感染症、予防接種。厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の会長代理
川崎医科大学教授 中野貴司さん/専門は小児科、感染症、予防接種。厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の会長代理

 今後、何回打てばいいのか。

中野「現行のワクチンは効果が時間とともに減衰しますが、どんな頻度で打てばいいのかはまだよくわかっていません。重症化リスクの高い人でも半年に1度打てば重症化を防げるのではないかというのは一つの目安です。ワクチンには副反応があります。感染して重症化するリスクと、ワクチンの副反応のリスクのどちらが大きいかは一人ひとり異なります。ご自分の場合はどうか、判断が難しければかかりつけの医師らに相談して、接種するかどうかを決めて下さい」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり、編集部・川口穣)

AERA 2023年5月15日号