家の中で過ごす時間の長いキッチンもモノでいっぱい/ビフォー
家の中で過ごす時間の長いキッチンもモノでいっぱい/ビフォー

 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.46  自分の理想に向かって一歩を踏み出す勇気が大切

夫+子ども2人/養護教諭

 たとえ家族であっても、他人は簡単には変わりません。そうやってあきらめて同じ生活を続けると、いつまでもそのままの状態が続きます。でも、1つだけ変えられる可能性があるとしたら、まず自分が変わることです。

 優さんは、夫と5歳・1歳の男の子の4人暮らし。一人暮らしをしていたときは、鍋パーティーをするなど家に人を呼ぶことが大好きでした。結婚を機に引っ越すと、まわりの環境も自分の生活も一変します。

 見知らぬ土地で自分の家族も友人もおらず、義実家の自営業を手伝う生活が始まりました。早く慣れようと必死だった優さんに、衝撃的な事実が判明します。

「夫がまったく片づけられない人だったんです」

 優さんの夫は結婚前に一軒家を購入して、実家で暮らしながらその家にも自分の荷物を置いていました。2人が生活し始めたときには、家の中はすでにモノでいっぱい。引っ越しのときだけの一時的な状態かと思っていましたが、夫は一向に片づける気配がありません。

「目の前にモノを置いていないとわからなくなって、不安になっちゃうみたいで。私が片づけると怒るんです。夫のモノじゃなくて私のモノでも、捨てると『なんで捨てるんだ』と文句を言われて……」

 優さんは人を呼びたくても散らかっていて呼べないのに、気にしない夫は「呼べばいいのに」と言います。家の片づけが原因で言い争いをすることは、一度や二度ではありません。片づけの問題は、常に夫婦関係の悩みでもありました。

「夫は何回も買い物に行くことを時間のムダだと考えて、トイレットペーパーやティッシュは箱買いするのでストックが山積み。でも、空きボトルとか明らかにいらないモノも捨てないんです」

 モノは増える。でも捨てない。家の中のモノは増え続ける一方でした。

子どもが生まれてからは子どものモノも増えて、優さん1人では管理できなくなってしまい、さらに散らかるように。

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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