グローバル化の流れのなかで、小学生時代から英語教育に熱心な家庭は多い(写真/gettyimages)
グローバル化の流れのなかで、小学生時代から英語教育に熱心な家庭は多い(写真/gettyimages)

 小学校2年生に進級した我が家の娘が、ある日顔を輝かせて帰ってきました。

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「今日ね、学校で英語の歌をうたったの。私、みんなの前でお手本になったんだ」

 娘は5歳近くまでアメリカに住んでおり、日本に越して2年経った今も英語と日本語の会話を難なくこなします。英語のアニメを観て笑い、アメリカの家族と動画通話をする、いわゆるバイリンガルです。英語ができることはいまのところ自信や誇りになっているようでなんとも嬉しいこと……と喜びを覚えつつ、ふと思いました。

(そういえば娘、もう英検受けられるんじゃないの?)

 娘は英語ができる、と私も本人も信じていますが、客観的に見たらどうなんだろう? 本当に日常生活で困らないくらいの英語力はあるんだろうか。そういえばスピーキングとリスニングは問題なさそうだけどライティングやリーディングは相応の実力があるかわからない。そこで早速英検のオフィシャルサイトから過去問を印刷し、「楽しいクイズだよ!」と娘の気分を盛り上げて娘の実力に合いそうな4級を解かせてみたところ、思いもよらない事実が判明しました。

 小学2年生に、英検は難しい。ただしその理由は、英語力ではありませんでした。

 我が家の娘の課題は、全部で3つありました。まず1点目が、集中力。4級の試験は筆記が35分、リスニングが約30分ですが、思えば娘は65分も机に向かって勉強をした経験がないのです。絵を描いたり本を読んだりと、好きなことは比較的じっと座って行っていますが、それでも集中力はもって45分くらい。学校の授業も1コマ45分です。

 2点目の課題が、情報処理能力。たとえばリスニングのテストで「ジャネットは毎週火曜日の午後に歌のレッスンを受けており、来週末にはコンテストに参加する。ジャネットはいつか歌手になりたいと思っている」という文章が流れて、「歌のコンテストはいつ?」と訊かれる。文章の各単語は聴きとれても、はてなんだろう、と困ってしまうようなのです。一度に耳に飛び込んでくる情報が多すぎて、特に時間の概念は抽象的だからか、すぐに答えを出すのが難しいのかなと思います。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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