レッドソックスの吉田正尚は3日のパイレーツ戦で大リーグ初本塁打を放ち、ベンチで用意されたダンベルを上げて喜ぶ(AP/アフロ)
レッドソックスの吉田正尚は3日のパイレーツ戦で大リーグ初本塁打を放ち、ベンチで用意されたダンベルを上げて喜ぶ(AP/アフロ)

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を制した日本代表(侍ジャパン)。世界一の立役者となった大谷翔平だけでなく、他の「大リーグ組」も、所属チームで大きな期待を背負いながらプレーしている。AERA 2023年4月24日号の記事を紹介する。

【図】侍ジャパン、「大リーグ組」の今季成績はコチラ

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 侍ジャパンでリーダー役だったパドレスのダルビッシュ有(36)も先発の大黒柱を担う。昨年は大リーグで自己最多タイの16勝をマーク。新たに6年の大型契約を結んだ。今季は初登板した4日のダイヤモンドバックス戦で救援陣が逆転を許し、10日のメッツ戦では初黒星を喫したが、侍ジャパンを取材したテレビ関係者は言う。

「侍ジャパンに合流してから、壮行試合などの実戦に登板できないなど制約が多く、調整が難しかったと思う。宮崎の強化合宿の時も他の投手に助言を送るなど、自分のことよりチームに時間を割いていた。状態はまだ万全でないと思うが、実績がある投手なのでこれからコンディションを上げていくでしょう」

 今季から大リーグに挑戦するレッドソックスの吉田正尚(まさたか、29)は、大リーグで鮮烈な初アーチを放った。「4番・左翼」でスタメン出場した3日のパイレーツ戦。2点を追う初回1死二塁で、ヨハン・オビエド(25)の155キロの直球を振り抜くと、打球は本拠地フェンウェイパーク名物の高さ11.3メートルの左翼フェンス「グリーンモンスター」を越えた。同点の2ラン。ダッグアウトに戻ると、チームメートから渡された金色のダンベルグッズを持って満面の笑みを浮かべた。

 その後は12打席連続無安打と内野ゴロが目立ち、12日のレイズ戦は右太もも裏の張りで欠場したが、米駐在の通信員は言う。

AERA 2023年4月24日号より
AERA 2023年4月24日号より

「大リーグでは初対戦の投手ばかりで、日本人投手のようにきれいな回転の直球を投げる投手も少ない。松井秀喜さんがヤンキース移籍当初に苦労したように、バットの芯を外されて内野ゴロが多いのは日本人選手が通る道です。レッドソックスのファンは結果が出ない選手を容赦なくたたきますが、活躍すれば絶賛される。チームカラーとしては阪神に近い。吉田はマイペースで図太い性格なので、重圧に押しつぶされることはないと思います。焦らないでほしい」

 侍ジャパン初の日系人大リーガーとしてWBCに出場したカージナルスのラーズ・ヌートバー(25)は負傷者リスト入りしていたが、15日のパイレーツ戦から大リーグに復帰し、16日に今季1号となる2ランを放った。負傷でWBC出場を断念したカブスの鈴木誠也(28)は14日のドジャース戦で戦列に復帰し、今季1号となるソロを放った。海の向こうでの侍たちの活躍が楽しみだ。(ライター・今川秀悟)

AERA 2023年4月24日号より抜粋