エンゼルスの大谷翔平は4月9日のブルージェイズ戦で本塁打を放ち、ベンチで兜(かぶと)をかぶるパフォーマンスをする(写真:AP/アフロ)
エンゼルスの大谷翔平は4月9日のブルージェイズ戦で本塁打を放ち、ベンチで兜(かぶと)をかぶるパフォーマンスをする(写真:AP/アフロ)

 侍ジャパンで世界一の立役者となった大谷翔平が、大リーグでも好スタートを切った。今シーズンも投打の「二刀流」の活躍が期待される。AERA 2023年4月24日号の記事を紹介する。

【図】侍ジャパン、「大リーグ組」の今季成績はコチラ

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 野球の日本代表(侍ジャパン)でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の頂点に輝いた選手たちは、大リーグ開幕後も中心選手として期待が大きい。早くも圧巻の活躍を見せているのがエンゼルスの大谷翔平(28)だ。

「3番・投手兼指名打者(DH)」でスタメン出場した4月11日のナショナルズ戦では、7回無失点で今季2勝目を挙げた。与四死球6と荒れ気味だったが、主審の判定が厳しかった側面もある。許した安打は1本のみ。昨年8月27日のブルージェイズ戦から10先発連続2失点以下を記録し、伝説の名投手で知られるノーラン・ライアンが1972~73年にマークした9戦連続を塗り替える球団新記録をマークした。今季3試合登板で防御率は0・47と驚異的な数字だ。

■注目されるスイーパー

 特に注目が集まっているのは「スイーパー」と称される球種だ。大きく曲がるスライダーの軌道だが、精度が抜群にいい。現地で取材するスポーツ紙記者は、こう分析する。

「大きく曲がるスライダーは以前から投げていましたが、昨年から大幅に割合が増えました。50センチ以上横滑りしていたことが話題になっていますが、昨年はここまで曲がり幅が大きくなかった。速くて鋭く横滑りする軌道に進化しているので、打者がなかなか対応できない。伊藤智仁さん(現ヤクルト1軍投手コーチ)が現役時代に投げていたスライダーに近いですね」

 投球の約半分を占めるスイーパーに加え、160キロを超える豪速球、落差の鋭いフォーク、緩いカーブ、右打者の内角をえぐるツーシームと球種は多彩で、しかもクオリティーが高い。昨年は28試合登板で166イニングを投げて、15勝9敗、防御率2.33。さらなる進化を遂げた今年は、投手タイトルを十分に狙えるだろう。

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