インド映画界屈指の名ダンサーでもある主演二人が挑んだダンス「Naatu Naatu」は、振り付け担当者が100通り以上のパターンを考えた。撮影と編集に数カ月間費やしたという(c)2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.
インド映画界屈指の名ダンサーでもある主演二人が挑んだダンス「Naatu Naatu」は、振り付け担当者が100通り以上のパターンを考えた。撮影と編集に数カ月間費やしたという(c)2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 インド映画として初めて米アカデミー賞歌曲賞にノミネートされるなど、世界を席巻している「RRR」。その魅力はどこにあるのか。AERA 2023年2月27日号より紹介する。

【写真】「RRR」の監督、S・S・ラージャマウリ氏はこちら

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 昨年10月21日に公開されたインド映画「RRR」が、日本で異例のロングランヒットとなっている。前作「バーフバリ」2部作が世界的に大ヒットしたS・S・ラージャマウリ監督が、インド史上最高となる7200万ドル(約97億円)をかけて製作した娯楽超大作。第95回米アカデミー賞ではインド映画で初めて歌曲賞にノミネートされた。

■「ムトゥ」上回る興収

 舞台は1920年、イギリス植民地時代のインド。英国の総督夫妻に村の幼い娘を連れ去られ、ビーム(NTR Jr)は救出のためデリーへ向かう。その頃、デリー郊外では逮捕された反英活動家の釈放を求めて、群衆が警察署を取り囲んでいた。警察官のラーマ(ラーム・チャラン)は一人で群衆に飛び込み騒動を収拾する。ある日、運搬列車の爆発事故に遭遇したラーマとビームは、間一髪のところで少年を救い出す。二人はその日以来互いの素性を知らぬまま、厚い友情と信頼で親交を深めていくのだが……。

 警察官1人対数十万人の大群衆との攻防、鉄橋での列車爆発事故からの少年救出劇、トラやヒョウといった動物たちとの死闘……。壮絶アクションからノンストップの耐久ダンスまで、見る者を飽きさせないどころか考える隙さえ与えない。観客はただただ圧倒されるほかない。

 公開当初全国210館でスタート。12週で64館まで徐々に減ったが、13週で86館に復活。14週で108館、15週で112館と息を吹き返した。本作を買い付けた配給会社ツイン代表取締役の加畑圭造さんは、

「当初は『バーフバリ 王の凱旋』の興行収入3億円超えを目標に、できれば『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95年)が持つインド映画歴代興行収入記録4億円を塗り替えたいと考えていました」

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