有村架純(ありむら・かすみ、左):1993年、兵庫県生まれ。2021年の映画「花束みたいな恋をした」で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」などに出演中/今泉力哉(いまいずみ・りきや):1981年、福島県生まれ。高校生のころには映画監督を志望。「窓辺にて」「愛がなんだ」など話題作を手がける。2023年秋には映画「アンダーカレント」が公開予定(撮影/写真映像部・東川哲也)
有村架純(ありむら・かすみ、左):1993年、兵庫県生まれ。2021年の映画「花束みたいな恋をした」で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」などに出演中/今泉力哉(いまいずみ・りきや):1981年、福島県生まれ。高校生のころには映画監督を志望。「窓辺にて」「愛がなんだ」など話題作を手がける。2023年秋には映画「アンダーカレント」が公開予定(撮影/写真映像部・東川哲也)

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【場面写真】浴衣姿の有村架純さんはこちら

――海辺の小さな弁当屋で働く元風俗嬢・ちひろと、町の人たちとの暮らしを描いたNetflix映画「ちひろさん」。マイペースでちょっと口が悪いちひろのもとには、傷や悩みを抱えた人々が集まる。孤独で自由な主人公を有村架純さんが演じた。

有村:2年くらい前にイヤイヤ期じゃないですけど、「なんでなんで期」があったんです。

今泉:わはは。

有村:自分のキャリアや肩書が型にはめられていくんじゃないかって窮屈さを感じていました。「なんでこれをしないといけないんだろう」「なんでこう言われているんだろう」って。社会に対する反骨心だったのかもしれないんですけど(笑)。

今泉:うんうん。

有村:でも、それって自分で自分の首を絞めることでもあるし、考えることにも疲れちゃって。そんなときにこの作品の話をいただいて、「あ、いま自分が感じていることだ」って演じる使命感みたいなものがわき上がってきました。

今泉:コロナ禍が始まって少しした頃ですね。

有村:自分自身も生きづらさを感じていたし、いろんな方が孤独や寂しさに敏感になっているときだったから。

今泉:原作の安田弘之さんとは、「暗さを知っている人のほうがいい」という話をしていて。有村さんにも脚本を読むタイミングで根暗と根アカの話をしたら、すぐに「そこは大丈夫です」と言ってくれましたよね。

有村:はい。「私は根アカなほうではないです……」って。

有村架純(右)、今泉力哉(撮影/写真映像部・東川哲也)
有村架純(右)、今泉力哉(撮影/写真映像部・東川哲也)

■ちょうどいい距離感で

今泉:かわいくて柔らかいイメージがあるけど、他の俳優さんには感じたことがない「わからなさ」もある気がします。そこがちひろさんっぽい。

有村:演じているときは、「ちひろさんを追いかけている」という感覚がありました。

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