ガソリン価格も高止まりの傾向だ。車移動や荷物の運送なども負担が増えている(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
ガソリン価格も高止まりの傾向だ。車移動や荷物の運送なども負担が増えている(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

 歴史的な物価高騰が続いている。自動車が生活に欠かせない人たちにとって、ガソリン代の値上がりは家計の大きな負担になっている。いつまで続くのか。AERA 2023年2月20日号の記事を紹介する。

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 交通網が発達している大都市圏はともかく、地方にとって自動車は生活の必需品。ガソリン価格の高騰は家計に大きな痛手で、香川県在住の20代女性はこんなコメントを寄せてくれた。

 自動車で通勤しているので、ガソリン代は食費とともに削るのが難しい出費です。ガソリンを極力減らしたくないので、プライベートではほとんど外出しなくなりました。まるで、コロナ禍の“巣ごもり生活”が復活してしまったような状況です。

 政府は昨年1月から「激変緩和措置」として、石油元売り会社に補助金を支給している。当初、その上限額は1リットル当たり5円だったが、ウクライナ侵攻に伴う原油価格の高騰を踏まえて、昨年3月に25円、昨年4月に35円に引き上げた。

 本来なら、原油価格がピークをつけた昨年6月に、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格は216円弱に達していたはずだった。だが、補助金によって175円弱に抑えられ、その後も実勢価格の推移に応じて13.6~41.1円の抑制が行われてきた。

 昨年末に2022年度第2次補正予算でも新たに3兆円を計上し、今年9月末までこの措置が継続することが決まっている。ただし、補助金の上限は1月から毎月2円ずつ減額されていく。

「足元では、補助なしでは185円程度の価格が168円程度に抑えられています。実際の値段が補助の上限額を超えない限りは、今後も168円程度であり続けることになります」

 こう指摘するのは、ポスト石油戦略研究所代表でエネルギー研究者の大場紀章さん。ただ、その程度の補助では“焼け石に水”とぼやく読者も少なくない。

 コロナ禍前は高くても150円台、コロナショック直後には126円程度まで下がったので、現状の負担は家計にかなり厳しい。(東京都、50代、男性)

 また、こんなジレンマを抱えて苦悩している読者も!

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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