少人数・短時間で楽しめるミニシリーズの「時をかけるトライアングル」(制作:グループSNE)をプレイ。大学のオカルト研究会を舞台に殺人が起きて……(撮影/編集部・高橋有紀)
少人数・短時間で楽しめるミニシリーズの「時をかけるトライアングル」(制作:グループSNE)をプレイ。大学のオカルト研究会を舞台に殺人が起きて……(撮影/編集部・高橋有紀)

「マーダーミステリー」という会話型推理ゲームが話題だ。自分自身が物語の世界に入りこんだような別格の体験ができるという。AERA 2023年2月6日号の記事を紹介する。

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「マダミス」と呼ばれる体験型コンテンツが人気を呼んでいる。「マーダーミステリー」を略したもので、「マーダー」(murder=殺人事件)の名の通り、殺人事件を題材にしたシナリオが用意され、参加者はその登場人物となって犯人や真相を推理していく。会話型推理ゲームとも言われる。日本初のマーダーミステリー専門店として2019年にオープンした「Rabbithole(ラビットホール)」は、東京・大阪に5店舗を展開。週末は満員御礼状態の人気ぶりだ。同店代表の酒井りゅうのすけさんに話を聞いた。

■発端は「ごっこ遊び」

 もともとボードゲームカフェのオーナーだった酒井さんがマーダーミステリーに出合ったのは19年の3月。当時中国で爆発的なブームとなっていたマーダーミステリーが翻訳されて日本に入ってきたときだったという。

「これはこれまでのボードゲームとは別格の何かだと感じました。もっと物語の世界に浸りながら楽しむコンテンツだと感じ、すぐに専門店をオープンさせることを決めました」

 マーダーミステリーの発端は、欧米で以前からある探偵ごっこのような「ごっこ遊び」だと酒井さんは説明する。それが中国に渡りテキスト(文字)文化と融合したことで、物語性が強くなり人気に火がついたと見る。

「もともとボードゲームにもフレーバーという形で“物語”は敷かれています。例えば人生ゲームもその設定の中に人生という物語がありますよね。マーダーミステリーは、フレーバーではなく、物語自体を体験させるコンテンツなんです」

 デジタルでは、VRゴーグルをつけてその世界に没入し楽しむようなゲームもあるが、それをシナリオというアナログな紙だけで実現してしまうのがマーダーミステリーなのだそう。

 一度プレイすると謎がとけてしまうため、同じシナリオは一生に一度きりしかプレイできないのもこのゲームの特徴だ。

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