成長と目標達成、その評価機軸で大丈夫?(イラスト:サヲリブラウン)
成長と目標達成、その評価機軸で大丈夫?(イラスト:サヲリブラウン)

 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 年明け仕事始めの週、インスタグラムのストーリーズで仕事に関するお悩み相談に答える機会を作りました。

 24時間で500通以上の相談をいただき、みんな仕事で悩んでいるのだなとひしひし実感。相談者の年齢は下は20代から上は50代までと様々でした。私でお役に立てることがあるならばと、独断と偏見で選んだ39問に腕まくりして答えました。

 職場の人間関係や、休職期間を経ての復帰への不安などに加え、傾向として非常に印象に残ったのが、「目標が見つからない」「成長できない」という内容が多かったこと。「現在の仕事にやりがいを感じない」という悩みも目立ちましたが、どちらかというと、やりがいを感じる仕事をしなければという強迫観念に駆られている印象。異口同音に語られるので、不思議だなと思いながら答えておりました。

 その謎は、管理職と思しき人からの相談を読んで解けました。その「成長や目標達成に主体的になれない部下にどう指導したらよいか」という文言から鑑みるに、いまの風潮として、会社の評価機軸が「成長」と「目標達成」にフォーカスされすぎているのではないかと考えたのです。

 公平な査定を行うためには、なにかしらの基準を設けることが有効です。それが「業務を通した自身の成長」と「掲げた目標の達成」なのでしょう。確かに、会社から与えられたノルマを達成するよりも主体性が問われる評価軸です。これが新しいとされた時代も確かにあったと思います。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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