バンダイカード事業部 
TCG開発チーム・アシスタントマネージャー・川島達郎(かわしま・たつろう)/1989年生まれ。埼玉県出身。2013年入社。カード事業部カードダスチーム開発担当。15年からアメリカ向けに、20年には欧米向けTCG(トレーディングカードゲーム)の開発・企画チーフを務める(photo 写真映像部・加藤夏子)
バンダイカード事業部  TCG開発チーム・アシスタントマネージャー・川島達郎(かわしま・たつろう)/1989年生まれ。埼玉県出身。2013年入社。カード事業部カードダスチーム開発担当。15年からアメリカ向けに、20年には欧米向けTCG(トレーディングカードゲーム)の開発・企画チーフを務める(photo 写真映像部・加藤夏子)

 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2023年1月23日号にはバンダイ カード事業部 TCG開発チーム・アシスタントマネージャーの川島達郎さんが登場した。

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 バンダイのTCG(トレーディングカードゲーム)の欧米展開で大きな成功をおさめた、立役者の一人だ。33歳。事業の好調さは海外での人気にも支えられている。

 欧米でのビジネスから一時撤退していた同社のカード事業部において、再び打って出ようと、綿密なビジネスプランを立てた。社内プレゼンで採用され、2015年から欧米市場に挑戦してきた。

 最初は、北米から仕掛けた。だが、その道のりは険しかった。

 商品の輸送方法から到着までの期間やコスト、現地の問屋などを調べるところから始まった。同時に、オリジナルキャラクターを使ったカードゲームも開発した。

 販路拡大のため、北米の商談会に参加したが、会場に行ってみると、ブースには間違った社名が掲示されていた。社名すら知られていないのが現実だった。

 市場調査を重ね、挑戦を続けるうちに、商品は大ヒット。事業は軌道に乗った。

 その時に日本と欧米では、ゲームに対する感覚や面白いと感じるポイントが違うことに気づいた。そこで欧米に向けてカードの仕様やゲームのルールなどを細かく変えるように改めるなどして、苦戦していた事業を回復に導いた。

 さらに、日本人だけで作っていたのを、現地のゲームクリエーターと共同開発する体制に変更。

 今では年間4タイトル、約3千種類のカードを作るほどの人気だ。

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