AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2023年1月2-9日合併号では、画家で女子美術大学非常勤講師の篠原愛さん、イトーキで商品開発本部に所属する佐々木世紀さん夫婦について取り上げました。

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夫43歳、妻37歳のときに結婚。

【出会いは?】お互い将来を考えていたタイミングに、信頼する共通の知人から紹介された。

【結婚までの道のりは?】2度目のデートで夫が「結婚を前提に付き合ってほしい」と伝え、5カ月後に結婚。

【家事や家計の分担は?】妻は料理上手なので片づけは夫がするなど、家事はお互いが得意なことを担当。家計は一緒に負担して、財布は別々。

妻 篠原愛[38]画家

しのはら・あい◆1984年、鹿児島県出身。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。園子温監督の書籍装丁や映画に作品が起用。国内外で個展を開催。「THEドラえもん展」ほか多くの展覧会に参加。作品集「Sanctuary」(復刊ドットコム)。女子美術大学非常勤講師

 夫の会社を訪れたのは、今日が2度目。美大のときから社会の規範と少し離れた世界にいた私にとって、会社員である彼の環境は堅実で新鮮です。新しい扉がいくつも開く感覚があります。

 若い時は「結婚は逃げで、仕事を制限する」と思っていました。それでも将来に迷いが出て、信頼する知人に助言を求めたら「自分の過去を振り返ることで選ぶべき道がわかる」と言われて……。そこで徹底的な自己分析を提示して再び相談。「誠実で家庭的、仕事に理解があり、安定した職の賢い人との結婚がいい」と判断した知人から、夫の写真が送られてきました。

 夫婦になって1年。夫は私が問題を訴えると、すぐに向き合い話し合ってくれるので、モヤモヤをためこまなくて済む。あと好きな料理は思い切りできるのに苦手なお皿洗いはしなくていいのが嬉しい。

 暖かいこたつで、もくもくと絵を描いていた幼少期の幸せな記憶に近い毎日かも。甘えていい新生活には、表現力の伸びしろもありそうです。

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