(photo 楠本涼 撮影協力:もみじの小路)
(photo 楠本涼 撮影協力:もみじの小路)

 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2023年1月2-9日合併号には庭友の庭師・佐野友厚さんが登場した。

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 生まれ育った京都で、形式にとらわれない自由な庭づくりを実践している。依頼を受けると、まずは地域や建物の歴史をリサーチ。依頼者の希望を聞き、自然環境をふまえ、土地と人が生きてきた時間を重ねる中で浮かんだキーワードをもとに話し合う。

 ベネズエラで日本庭園を造った経験から、京都に住む様々な国の出身者からも相談が入る。異文化の相手にも理解してもらえるよう、まずは庭の歴史や日本の生活文化を説明する。背景から丁寧に指導することで、異文化の摩擦を避けるだけでなく、相手にとって新たな学びとなるように、そんなコミュニケーションを楽しんでやっている。

「海外の人は庭に対する先入観がない分、見て感じたとおりに言います。直球で聞かれることで、僕も改めて庭とは?と自分に問いかけ、他に自由なやりようがあるんじゃないかと考えさせられる。そこが重要だと思っています」

 庭というと、どこかかしこまって鑑賞するように思われがちだが、「昔はもっと『使う庭』だったし、庭こそ自由」と考える。家を掃除するように、使うことで庭がいい状態に保てる面も。「ただ見るだけでは手入れしづらくなるので、庭と関わりを持たせる造りにします」

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