サバイバル番組「Stray Kids」から2018年にデビューした8人組(photo:「2022 MAMA AWARDS」(c) CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved)
サバイバル番組「Stray Kids」から2018年にデビューした8人組(photo:「2022 MAMA AWARDS」(c) CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved)

 世界最大級のK-POP授賞式「2022 MAMA AWARDS」が3年ぶりに日本で開催された。BTSをはじめ、世界で観客の心を掴むK-POPの魅力に迫る。AERA 2023年1月2-9日合併号の記事を紹介する。

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 ステージ両脇の巨大モニターに映し出される、ヒューマノイドロボットのCG映像。ステージ上では、光るマスクをつけたダンサーたちの群舞と共に、Stray Kids(ストレイ キッズ)、略称SKZ(スキズ)が登場する。舞台上部には、光りながらうごめく、とてつもない巨大グモ。このクモはオンライン視聴者と会場モニターにしか見えないAR(拡張現実)特殊効果なのだが、その動きは恐ろしいほど精巧でリアルだ。

Stray Kids/初日のトリを飾った「MANIAC(ヘビメタバージョン)」パフォーマンス。光るカプセルで踊るフィリックスのダンスが冴えわたる(photo:「2022 MAMA AWARDS」(c) CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved)
Stray Kids/初日のトリを飾った「MANIAC(ヘビメタバージョン)」パフォーマンス。光るカプセルで踊るフィリックスのダンスが冴えわたる(photo:「2022 MAMA AWARDS」(c) CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved)

 そのクモの腹から生まれ出てきたかのように、メンバーのヒョンジンがぐったりとした姿でワイヤーにつるされ、降臨する。舞台に降り立つや覚醒の表情へと変わり、1曲目「VENOM」のダークな世界へと、観客をぐいぐい引きずり込んでいく。

 これは11月29、30日に京セラドーム大阪で開催されたK-POPの世界最大級の音楽授賞式「2022 MAMA AWARDS」初日の模様だ。SKZの度肝を抜くステージパフォーマンスは、2曲目「MANIAC」の近未来カプセルで踊るフィリックスのダンスで、さらにボルテージが上がる。

 どれだけ莫大(ばくだい)な予算をかけてつくり込んでいるのかが伝わる、豪華な舞台美術。可搬式撮影カメラでメンバー一人ひとりの表情や強い視線を寄って捉え、モニターに大きく映し出す。観客はまるでMVの撮影現場に居合わせたかのようだ。ホラーサスペンス映画さながらのストーリー性や独特の世界観は、SKZの冒頭に映し出されたメッセージ“Do you want to be ODDINARY?”に集約されている。ODDINARYという単語は辞書にはない。odd(奇妙)とordinary(普通)という対極的な意味を持つ単語を合体させた造語であり、SKZが3月に韓国で発売したミニアルバムのタイトルでもある。

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