photo (c)2022「ファミリア」製作委員会
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 陶器職人の神谷(役所広司)は海外で働く息子(吉沢亮)と、息子が現地で出会った妻の結婚を祝福していた。あるとき神谷は偶然、隣町の団地に暮らす在日ブラジル人青年と関わりを持つようになる──。連載「シネマ×SDGs」の34回目は、自身の父や故郷への想いを物語に綴った「ファミリア」の脚本家のいながききよたかさんに話を聞いた。

【写真】映画「ファミリア」の場面カットをもっと見る(全5まい)

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 僕の実家は代々窯業を営んでいて、家から数キロのところに映画に登場する保見団地がありました。でも「危ないから行くな」と言われる場所で、彼らと交流したことはなかった。そこで数千人の在日ブラジル人が生活しているのに、彼らは完全に「見えない」存在にされていたんです。30代後半になり、父親との関係にずっと悩んできた自分や故郷について見つめ直したいと考えたとき、彼らについても描きたいと思った。2013年にアルジェリアで起きた人質事件にも衝撃を受け、その三つを軸に物語が生まれました。

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