大宮エリーさん(左)と宮田裕章さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
大宮エリーさん(左)と宮田裕章さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 作家・画家の大宮エリーさんのAERA連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。9人目のゲスト、データサイエンティストの宮田裕章さんが学生時代に夢中になっていた独特な学びとは?

【大宮さんと宮田さんのツーショット写真はこちら】

*  *  *

大宮:どんな高校生だったんですか。

宮田:とにかく本を読んでました。科学とか哲学とか。

大宮:東大に入ろうっていうのはどうして?

宮田:前期は理II、後期は文IIIに出願したんです。

大宮:えっ?

宮田:文理どっちでもいいな。あるいは、両方やりたいって思って。

大宮:で、理IIに入ったんですか。

宮田:そうです。東大に入って一番よかったのは、(1、2年次は)教養課程だったことです。

大宮:2年間のモラトリアムに、いろんな学問が学べる大学は、やっぱりほかにないですよね。

宮田:なかなかないですね。東大には感謝してます。

大宮:どんな科目を取ってましたか。

宮田:授業は最低限だけですね。

大宮:えっ!?

宮田:高校くらいから、自分で学ぶのはいいけど、誰かの言ったとおりに知識を習得するのは、すごく嫌いだったんです。で、自分がいま考えていることについて、重要な本とか概念を出している教授に対して、本を読んで、アクセスして。

大宮:なるほど、面白い。授業取ってないのに、その先生に会いにいって、「これはどういうことなんだ」と。

宮田:もちろん、「なんだ、おまえは」って追い返す人もいました。でも、データを取ってはいませんが、9割以上の人は歓迎してくれました。変わったやつだな、と。

大宮:何を話していたんですか。

宮田:いろいろな分野をつないでいかないと、やっぱり未来は見えないなと思って、議論を吹っかけていました。今でこそ、「デジタルで世界を変える」「DX」と言われますが、四半世紀前の当時は、「何言ってんだ、お前。金だよ、金。そんなありもしないもので世界が回るわけないじゃないか」という話だった。でも私は多元的な価値によって、社会が変わっていく時代になると思ってました。

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