経済評論家の勝間和代さんはタクシーをあまり使わず、歩くか公共の乗り物を多用する。その理由は「ものぐさコスト撲滅のため」。「AERA Money 2022秋冬号」の連載よりお届けする。

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頭と体を鍛えて
「ものぐさコスト」を撲滅する

 こんにちは、勝間和代です。このコラムでは毎回、「どうやって楽しくお金と付き合うか」について書いています。

 今回のテーマは「ものぐさコスト撲滅運動」です。「ものぐさコスト」というのは私が作った言葉ですが、ものぐさ––––すなわち「怠け癖」を原因として余計なお金がかかってしまうことを表現しています。

生活費が足りないと嘆いている人を観察していると、ものぐさコストが意外に高いことに気づきます。

 典型的な例としては、都市部に住んでいる人のタクシーの費用でしょう。公共交通機関が十分に発達している地域において移動するときは、時間をしっかりと見ておけばタクシーを使う必要は全くないと思います。

それに、徒歩15分から20分ぐらいまでの距離であれば、歩けば済むことです。それをせずに、待ち合わせギリギリになってしまったからタクシー、歩くと疲れるからタクシー……と、ものぐさになってしまった瞬間にタクシー代という費用がかかってしまいます。

 コンビニエンスストアやスーパーマーケットでお総菜を買うお金も、ものぐさコストといえるかもしれません。

 新鮮な肉や野菜を買って自分で作れば、材料費はお総菜の3分の1ぐらいになるでしょう。自炊が面倒だからといって、出来合いのものを買い続けていると食費は上がっていきます。

 通信費もそうです。みなさんが持っている携帯電話を見てみましょう。NTTドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアでスマホを分割で買うと楽ですが、通信費も高いですし、端末代金も高くなりがちです。

 自分でしっかりと格安SIM会社を比較し、プランを調べれば通信費は下がります。

 携帯電話本体についても、最新型のiPhoneのように最高スペックのものを買わず、自分に必要な機能をカバーしてくれる地味なスマホを調べて購入し、自分でSIMカードを差し込むことができれば、さらにコストは下がります。

 最近は大手キャリアもネット専用のリーズナブルなプランを出していますが、「格安SIM+地味スマホ」のほうが毎月の支払いは安くなるケースが多いです。

 別の視点からも見てみましょう。お酒を飲むと幸せな人がいるとします。お酒で得られる幸せというのは手っ取り早いのですが、本当に瞬間風速的なものでして、しかも多くのお金がかかります。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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