「25アワーズホテル・ドバイ・ワン・セントラル」から見える未来博物館。ドバイへは成田、関空から毎日就航のエミレーツ航空直行便で11~12時間(撮影/西元まり)
「25アワーズホテル・ドバイ・ワン・セントラル」から見える未来博物館。ドバイへは成田、関空から毎日就航のエミレーツ航空直行便で11~12時間(撮影/西元まり)

 思えば、長い“鎖国”だった。日本が今秋にようやく規制緩和し、観光も再開。流行の先端を行く2泊4日中東の旅で見た景色は──。AERA 2022年12月19日号より紹介する。

【写真】地上から219.5メートルにあるスカイビュー展望台からの眺め

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「うわ! なんだ、あれは!?」

 ホテルの部屋に入って大きな窓のカーテンを開けると、ドーナツ形をした巨大建造物がどどーん!と視界に入ってきた。聞けば、今年2月にオープンした未来博物館「ミュージアム・オブ・ザ・フューチャー」。この穴は、まだ見ぬ未来を表現しているらしい。摩天楼の間をスイスイ飛ぶドローンタクシーを夢想する。映画で見た近未来が眼前に迫ってくるような錯覚。あまりのインパクトのデカさに迎えられ、ドバイの旅は始まった。

 筆者にとっておよそ3年ぶりの海外旅行。だがドバイは2020年3月から約3カ月のロックダウンのみ。1年延期し今年3月末まで開催されたドバイ万博では約2400万人もの来場者を集めたというから、いかに社会・経済の早期回復を進めたかがわかる。

 超高層ビルが林立するこの街の急激な変貌には目を見張る。まずはそのルーツを見に、歴史地区のオールドドバイへ。19世紀中期から後期にかけ、貿易船の中継地として発展したドバイ発祥のエリアだ。

■色とりどりのスパイス

 ひよこ豆のペースト「フムス」など、エミラティ料理と呼ばれる家庭料理を「アル・カイマ・ヘリテージ・レストラン」でいただき、色とりどりのスパイスや金製品などが並ぶスーク(市場)を散策。スパイスの香りが鼻をくすぐる。店には、白い民族衣装カンドゥーラに身を包んだ男性たち。近くのモスクから1日5回の礼拝を促すアザーンの呼び声が響き渡り、中東に来たんだなと実感する。アブラという小さい渡し船で対岸に渡り、ヨガや瞑想(めいそう)の体験施設「セヴァ・エクスペリエンス」へ向かった。

 キャンドルとアロマの香りの中で瞑想する「サウンド・ヒーリング」は、まず大きなチベットの鐘の中に立ち、鐘の音の大きな波動を全身で感じる。次に床に横たわり、目を閉じて響き渡る鐘の音に耳を傾け、頭を空っぽにする。

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