「性教育いらすと」が提供するポスター用の無料データ。学校のトイレの個室に貼っておくことで、みんなで知識を共有できる(性教育いらすと提供)
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 社会全体が生理をオープンに語る風潮になってきている一方で、「学校では知られたくない」と過剰に隠す小中学生も少なくない。初潮年齢は9~15歳と個人差が大きく、小学3~4年生で初潮を迎えた子どもが“生理バレ”に恐怖を感じている。AERA2022年12月19日号の記事を一部紹介する。

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“生理バレ”の悩みを改善するためには、正しい知識の共有が不可欠だ。多くの学校では小学5年の宿泊学習前に、養護教諭が初潮の指導を行う。しかしその実態は学校によって差がある。

 全国の学校で性教育の講演を行い、「サッコ先生」の愛称で性教育の普及活動に力を入れる埼玉医科大学助教で産婦人科医の高橋幸子さんは、「内容は養護教諭の先生次第で、意識の高い学校と低い学校の温度差はある」と指摘する。

 静岡県の70代女性は、小学5年の孫を見ていて、学校の指導不足を感じたという。

「ナプキンの着け方も、替えるタイミングも、捨て方も具体的なことを教わらなかったようです。母親は仕事で留守がちですし、私が言っても真面目に向き合ってくれないんです。漏れてしまうこともあるので、もっと具体的に伝えてほしいと思いました」

 今年の夏、小学5年の娘が初潮を迎えた都内の女性(42)は、学校での指導を全く覚えていないわが子に戸惑った。2週間前に学校で指導を受けたばかりのタイミング。それなのに、使い方を全く知らなかった。

「えっ、て思いました。詳しく教わらなかったみたいですし、本人も自分事として聞いてこなくて、開け方すら分からない状態でした」

 高橋さんは学校での指導について「1回で終わらせないことが大切」と話す。

「5年生で習って、今すぐ自分に関係あることだって思える子はほんのひと握り。何年生になっても何回も聞くチャンスがあった方が本当はいいんです。自分事じゃない時に聞いても、子どもは頭に入りません。例えば毎月1回みんなで生理について勉強しようね、という会が当たり前にあったらいいですね。4年、5年、6年で毎年月経と射精について養護教諭の先生が教えている小学校もあります」

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