尾崎治夫(おざき・はるお)/1951年生まれ、東京都医師会会長。2015年から現職、16年からは日本医師会理事も務める(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
尾崎治夫(おざき・はるお)/1951年生まれ、東京都医師会会長。2015年から現職、16年からは日本医師会理事も務める(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 年明けに新型コロナウイルスの感染者が増えるという予測がある。忘年会や冬休み、帰省などのある年末、どう対策したらいいのか。東京都医師会・尾崎治夫会長に聞いた。2022年12月19日号から。

【グラフ】年齢別のコロナワクチン接種率はこちら

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──12月に入り、増加傾向にあった全国の新型コロナウイルスの新規感染者数がやや落ち着きつつある。ただし、地域差があり、新規感染者数が過去最高を記録している自治体もある。

 増加傾向が緩やかになってきました。しかし、年明けには、また新規感染者数が大きく増える可能性があると指摘する専門家もいます。理由の一つは、忘年会や帰省などで人と人との接触機会が増えるからです。

 もう一つの理由は、これまで流行していたオミクロン株BA.5系統に代わり、「BQ.1(BQ.1.1含む)」や「BN.1」、「BF.7」といった新たな亜系統のウイルスが増加しつつあるからです。

 新しい亜系統に、ワクチン接種や感染でできた免疫の攻撃から逃れる能力、つまり免疫回避力がどれだけあるのか詳細はわかっていませんが、BQ.1.1は、BA.5よりも免疫回避力が高い、という報告もあります。免疫回避力の高い亜系統が主流になれば、ワクチンを打った人も感染するブレークスルー感染が起きやすくなりますし、再感染も増えます。

■4人に1人感染経験

──厚生労働省が11月6~13日に日本赤十字社の献血ルームなどを訪れた16~69歳の献血者8260人の血液を分析したところ、新型コロナウイルスに感染してできる抗体を持っている人は全国平均で26.5%だった。地域差が大きく、抗体保有率が最も高い沖縄県は46.6%、最も低い長野県は9.0%だった。

 抗体保有率は、どれぐらいの人が感染したことがあるのかを表しています。今年の夏までに何度か大流行が起きた沖縄県では、すでに半数近い人が感染したことがある一方で、感染者数を低く抑えてきた長野県は1割未満の人しかまだ感染してない、ということです。

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