後半36分、GK権田修一はフジェル(4)のシュートに手を伸ばしたもののはじかれ、決勝点を許す(photo 森田直樹/アフロスポーツ)
後半36分、GK権田修一はフジェル(4)のシュートに手を伸ばしたもののはじかれ、決勝点を許す(photo 森田直樹/アフロスポーツ)

 日本はドイツ戦で歴史的金星を挙げ、コスタリカ戦でまさかの黒星を喫した。日本時間12月2日のスペイン戦を前に、この敗戦の原因を振り返る。

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 ドイツ戦での歴史的な金星から中3日、歓喜の雄たけびは失望のため息へと変わった。

 11月27日に行われたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグE組の第2戦で、日本はコスタリカに0-1と敗れた。勝てば決勝トーナメント進出(上位2チーム)に向けて大きく前進する一戦だったが、引いて守りを固めてきた相手にまさかの黒星を喫して勝ち点を3から伸ばせず。一方、初戦でスペインに0-7と大敗していたコスタリカは同3で日本と並んだ。E組は本稿締め切り後の日本時間12月2日の第3戦で、1次リーグ突破チームが決まることになった。

 一瞬、目を疑った。後半36分、日本は自陣中央で不用意な形でボールを失うと、味方からのパスを受けたDFケイセル・フジェル(28)にペナルティーエリアの中からこの試合唯一の枠内シュートを許した。フワッと緩く浮いたボールに勢いはなく、GK権田修一(33)の守備範囲かに思われた。だが、飛んだコースがよかったのか、ボールは懸命に伸ばしたその手をかすめながらゴールネットに吸い込まれていった。

 森保一監督(54)は、攻撃陣を中心にドイツ戦からスタメン5人を入れ替えた。だが、フレッシュな選手がもたらしたのは勢いではなく、ぎこちなさだった。CF(センターフォワード)で起用されたW杯初出場の上田綺世(24)は前線で存在感を示せず、ドイツ戦で同点ゴールを挙げた右MFの堂安律(24)も沈黙。そして、トップ下のMF鎌田大地(26)のボールタッチはことごとくずれた。

 ハーフタイムに上田に代えてFW浅野拓磨(28)、DF長友佑都(36)に代えてDF伊藤洋輝(23)を投入したほか、後半17分にはDF山根視来(28)に代えてMF三笘薫(25)、同22分には堂安に代えてMF伊東純也(29)、同37分にMF相馬勇紀(25)に代えてMF南野拓実(27)と5人の交代枠を使い切ったものの、最後まで攻めるのか守るのか、チームの狙いがぼやけた戦いに終始した印象だ。

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