トランプ氏は11月15日、フロリダ州の自宅に数百人の支持者を集め、大統領選挙への立候補を表明した(photo ロイター/アフロ)
トランプ氏は11月15日、フロリダ州の自宅に数百人の支持者を集め、大統領選挙への立候補を表明した(photo ロイター/アフロ)

 米国のトランプ前大統領が2024年大統領選挙への立候補を早くも表明した。共和党内からも中間選挙の「苦戦」の責任を問われる中、求心力を保てるのか。2022年11月28日号の記事を紹介する。

【図表】米中間選挙の開票状況はこちら

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「フェイクニュースCNN」

「極左化する民主党」

「移民のケダモノ」

 トランプ・ワードが炸裂(さくれつ)した11月15日夜(米東部時間)、トランプ氏は予想通り、2024年大統領選挙に共和党候補として立候補すると名乗りを上げた。

 8日に投開票があった中間選挙の結果も、まだ出そろっていない。これほど早く立候補表明をするのは異例だ。

 しかし、トランプ氏には「出馬しなければならない」理由が大ありだった。

 第一に、中間選挙の結果だ。

 4年に1度開かれる中間選挙(上下院選、州知事選など)は、共和党が優勢で「赤い波(赤は共和党のシンボルカラー)」が起きるという予想が覆され、民主党が大健闘した。

 上院では共和党49議席に対し、民主党は50議席を獲得して多数派を維持した。一方、下院は16日、共和党が過半数の218議席目を得たものの、民主党との差はわずかだ。中間選挙は、大統領が所属する与党が大幅に議席を減らすのが常。共和党の苦戦ぶりは「お通夜のようだ」と、ニュースサイト「Axios(アクシオス)」は表現した。共和党は、トランプ氏が推薦した候補者を前面に出して「トランプ党」として選挙を戦い、党全体としては半ば敗北したことになる。

■投開票日前の予告裏目

 実は、民主党が予想に反して各地で勝利したのは、トランプ氏が投開票日前に「重大な発表を15日にする」と予告したためだ。「2年後にトランプ氏に再選させる道筋をつけさせない」という反トランプ市民が投票所に向かった。トランプ氏の立候補への意欲は裏目に出たと言える。中間選挙の結果から関心を移すためにも、トランプ氏は予定通り立候補を表明することが必要だったというわけだ。

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