走り込んだ相馬勇紀は懸命に右足を伸ばし、柴崎岳の浮き球のパスに触ると、ボールはゴール右へと吸い込まれた/11月17日、アラブ首長国連邦・ドバイ
走り込んだ相馬勇紀は懸命に右足を伸ばし、柴崎岳の浮き球のパスに触ると、ボールはゴール右へと吸い込まれた/11月17日、アラブ首長国連邦・ドバイ

 サッカーの日本―カナダ戦が11月17日、アラブ首長国連邦(UAE)であった。ワールドカップ(W杯)カタール大会前の最後の強化試合で見えた課題と期待は。AERA 2022年11月28日号の記事を紹介する。

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 カナダ戦の前日会見で森保一監督(54)は、今回の一戦におけるテーマとして「ケガ人の回復状況の見極め」を挙げた。今年9月以降、負傷者が相次ぎ、回復状況によって本大会のチーム編成が変わるからだ。

 カナダ戦では9月に右ひざの内側側副靱帯を断裂した浅野拓磨(28)、左ひざの靱帯(じんたい)を部分断裂した板倉滉(25)、そして右ひざを痛めて10月末以降の試合を欠場していた田中碧(24)が先発した。それぞれプレーを躊躇(ちゅうちょ)する場面もなく、森保監督もいい意味の見極めができたに違いない。この3人の状態が戻りつつあることは好材料だろう。

■遠藤と守田が負傷欠場

 不安材料もある。レギュラーボランチの2人が負傷で欠場。W杯初戦のドイツ戦(23日)に間に合うか分からない状況となっている点だ。中盤でボールを奪って攻撃の一歩目としての役割を担う遠藤航(29)は11月8日、所属チームでの試合で相手と激突。脳振盪(しんとう)で救急搬送された。大事には至らなかったが、ドイツ戦に出られるかは不明だ。

 その遠藤とコンビを組む守田英正(27)も13日、所属チームでの試合後に左ふくらはぎの違和感を訴え、代表合流後は別メニューで調整中だ。

 2人が間に合わないとなれば、戦い方の修正が必要になる。主将の吉田麻也(34)はカナダ戦を前にボランチコンビの欠場について聞かれると、「中盤が変わるとガラッと変わる。(アジア最終)予選で軌道修正できたのは守田とか航がリーダーシップを発揮したから」と返答。「(回復を)祈るしかないですけど、同時にいろんなピンチをチャンスに変えられる選手たちが出てこなければいけない。それは碧だったり、もちろん追加で入った町野(修斗、23)だったり」と新たな力の台頭にも期待を寄せつつ、ボランチコンビ不在の影響の大きさを口にした。

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