NPO法人「あなたのいばしょ」の大空幸星理事長(撮影/写真映像部・上田泰世)
NPO法人「あなたのいばしょ」の大空幸星理事長(撮影/写真映像部・上田泰世)

<コロナ禍でのオンライン授業、引きこもり生活……最近、直接、人と会う機会があっても、全く目を見て話せない、言葉が上手く出てこなくなりました>
<この生活がずっと続くなら、もう死んでしまいたいと思ってしまう自分がいます>
<「なぜ今この勉強をしているのか、自分が本当にやりたいことはこれなんだろうか」と悩むようになり、勉強に対するやる気が衰退してしまった>

【写真】取材に応じる大空幸星さん

 24時間、匿名のチャットで悩み相談を受け付けているNPO法人「あなたのいばしょ」には、学生たちからそんな悲痛な声が届く。コロナ禍の若年層を取り巻く孤独の本質とはいったい何なのか――。週刊誌AERAは同NPOの大空幸星理事長(23)にインタビュー。「望まない孤独」について、話を聞いた。

*  *  *

──大空幸星さんは大学3年生だった2020年3月、24時間無料チャット相談窓口「あなたのいばしょ」を立ち上げました。相談する8割が10、20代とのことですが、大学生はどのような悩みを抱えていましたか。

 大学生にかかわらず、コロナ禍初期の相談内容は限定的でしたが、緊急事態宣言が出るたびに、重層的になっていきました。自殺の要因は平均して四つぐらいあるとも言われています。小さな悩みが重層的、複合的に積み重なって、連鎖していました。だから、こういう相談が多いですっていうことを切り抜いてお話ししても、実はあんまり正確ではありません。ただ、「死にたい」という相談が多いということは言えます。コロナが長期化するにつれて、「死にたい」と言う人が増えてきました。

■友達作る機会なかった

──大学生はどのような状況で、悩みを積み重ねましたか。

 コロナ禍に上京して一人暮らしをして、周りに住む人を誰も知らないというなかで、学校でも友達をつくる機会がない。そういう悩みを抱えていたという相談は数多く寄せられました。「望まない孤独」に陥っていたとも言えます。

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抱えている悩みに気づいて相談するのは困難…